不正競争行為差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社ファンデクセル)は、日用雑貨及び服飾雑貨の販売等を目的とする会社であり、Amazon等のECサイトにおいて「Qbitいつでも簡単トイレ」等の商品名で簡易トイレ商品を販売していた。被告P1は、竹活性炭を使用した製品の開発・販売等を目的とする被告会社(株式会社コゾノ企画)の代表取締役であり、「いつでもどこでも簡単トイレ」に係る商標権を有していた。被告P1は、令和4年10月31日から同年11月8日にかけて、Amazonの権利侵害申告フォームを使用して、原告各商品が被告商標権を侵害する旨の申告を3回行い、これにより原告商品の出品が一定期間停止された。原告は、被告P1に対し申告の取下げを再三求めたが応じられなかったため、本件各申告が不正競争防止法2条1項21号の不正競争(虚偽の事実の告知)に該当するとして、被告P1に対し差止め及び損害賠償を、被告会社に対し会社法350条に基づく損害賠償を請求した。 【争点】 1. 本件各申告が不競法2条1項21号の不正競争に当たるか(競争関係の有無、「事実」の告知に当たるか、内容が「虚偽」であるか) 2. 被告P1に故意又は過失があったか 3. 違法性阻却事由の有無(商標権者としての正当な権利行使か) 4. 原告の被った損害の額 5. 差止めの必要性 【判旨】 裁判所は、原告の請求を一部認容した。まず、原告と被告会社は競争関係にあり、被告P1はその代表取締役として職務に関して本件各申告を行ったことから、原告と被告P1も「競争関係にある」と認定した。本件各申告はいずれもAmazonの権利侵害申告フォームを利用したものであり、単なる主観的意見の表明にとどまらず、商標権侵害の事実を告知する行為に当たると判断した。申告内容の虚偽性について、裁判所は原告各標章と被告商標の類否を詳細に検討し、原告標章の要部は「Qbit」及び丸い絵柄部分であり、被告商標の要部は赤ちゃん様の絵柄部分であるとして、両者は外観・称呼・観念のいずれにおいても類似しないと判断した。また、原告標章11ないし15は「いつでも簡単トイレ」等の文字のみからなるが、これらは商品の使用方法や効能を表示するものにすぎず、商標法26条1項2号の商標に該当し被告商標権の効力が及ばないとした。したがって、原告各商品の販売は被告商標権の侵害に当たらず、本件各申告の内容は「虚偽」であると認定した。被告P1の過失も認め、違法性阻却の抗弁も排斥した。損害額については、逸失利益648万8487円及び弁護士費用64万8848円の合計713万7335円を認容し、無形損害及び広告費(SEO対策費)の請求は棄却した。差止めの必要性も認め、被告P1に対しECサイト運営者への虚偽告知の禁止を命じた。