特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「庇」と題する発明に係る特許権(特許第5000674号)を有する原告(アルフィン株式会社)が、被告(株式会社ダイケン)の製造・販売するアルミ軽量ひさし「RSバイザー RS-S2型」(イ号製品)及び「RSバイザー RS-S型」(ロ号製品)が本件特許の技術的範囲に属すると主張して、特許法100条1項及び2項に基づきイ号製品の製造・販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに、イ号製品については不法行為に基づく損害賠償金5億2500万円の一部請求として1億4000万円及び遅延損害金の支払を、ロ号製品については不当利得金2億0225万円の一部請求として6000万円及び遅延損害金の支払を、それぞれ求めた事案である。本件発明は、建物の外壁面に取り付ける庇に関し、従来の樋板付き庇の大型化・複雑化の問題を解消するため、樋溝のない前縁板を用いて小型化と構造の簡易化を実現することを目的とするものである。 【争点】 主な争点は、(1)被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか(構成要件の充足性)、(2)損害の発生及びその額、(3)差止め等の必要性の有無である。特に争点(1)に関し、構成要件B2(「庇板の開放された前端面に当接され前面が雨水を下方へ導くガイド面となっている縦板部」を備えるか)の充足性が中心的な争点となった。被告製品が構成要件A1、A2、A4、B1、B3、B4、C2ないしC4を充足することは争いがなく、構成要件A3、B2及びC1の充足性が争われた。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、構成要件B2の「縦板部」の意義について、本件明細書の記載を参照し、「庇板の開放された前端面に当接され」た板部の「前面が雨水を下方へ導くガイド面となっている」ことを要するものと解釈した。すなわち、本件発明が庇の小型化と構造の簡易化を目的としていることに照らし、前端面に当接された部分と雨水を下方へ導くガイド面となっている部分とが離間して存在する構成は「縦板部」に含まれないとした。被告製品においては、先端見切104の当接部145が庇板102の前端面129に当たって接しているものの、雨水を下方へ導くガイド面140aは中間に横方向へ延びる張出部142を介して当接部145とは離間して存在しており、当接部145の板部の前面がガイド面となっているとはいえないと認定した。したがって、被告製品には「庇板の開放された前端面に当接され」た板部の「前面が雨水を下方へ導くガイド面となっている」構成が備わっておらず、構成要件B2の「縦板部」を充足しないと判断し、その余の構成要件の充足性について判断するまでもなく、被告製品は本件発明の技術的範囲に属しないとして、原告の請求をいずれも棄却した。