鈴鹿市運行記録票提出指導違反処分取消等請求事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4行ウ24
- 事件名
- 鈴鹿市運行記録票提出指導違反処分取消等請求事件
- 裁判所
- 津地方裁判所
- 裁判年月日
- 2024年3月21日
- 裁判官
- 竹内浩史、山口貴央、山﨑次矩
AI概要
【事案の概要】 三重県鈴鹿市に居住し、生活保護法による保護を受けていた原告A(身体障害者手帳4級、膀胱がんによる膀胱全摘出手術を受けストーマを使用)は、同一世帯の二男である原告B(身体障害者手帳2級、指定難病の汎下垂体機能低下症)が所有する自動車について、処分行政庁から運転記録票を提出するよう複数回にわたり求められていたにもかかわらず、これを提出しなかった。処分行政庁は、原告Bの通院に限定して自動車の保有・利用を容認していたが、原告らが指導指示に従わなかったことを理由に、生活保護法62条3項に基づき、令和4年9月27日付けで原告Aの生活保護(生活扶助、住宅扶助、介護扶助、医療扶助)を停止する処分をした。原告Aは本件停止処分の取消しを求めるとともに、原告らが被告(鈴鹿市)に対し、国家賠償法1条1項に基づきそれぞれ55万円の損害賠償を求めた事案である。 【争点】 1. 本件指示等(運転記録票の提出指導)の違法性(生活保護法27条違反の有無) 2. 本件停止処分の違法性(比例原則違反、手続違反の有無) 3. 国家賠償請求の成否(処分行政庁の過失の有無、損害額) 【判旨】 裁判所は、本件停止処分を違法と判断し、取消しを認容した。まず、生活保護法27条は指導又は指示が被保護者の自由を尊重し必要最小限度に止めなければならないと定めており、法62条3項の適用に当たっても違反の程度や保護停止の必要性等に応じ必要最小限度の内容としなければならないと解した。その上で、本件車両の利用目的を原告Bの通院に限定していることについて、原告Aにも通院の必要性があったことから合理性に疑問があるとし、運転記録票の「キロ数」「運転経路」「用件(具体的に)」欄の正確な記載を求めることは過剰であるとの疑いがあるとした。また、原告らが通院以外に日常生活の買物等にも本件車両を利用していた点については、車両の処分価値がなく維持費等も生活保護の範囲内で賄われていたことから、自立した生活に資するものであり非難されるべきものではなく、違反の程度は軽微であると認定した。他方、原告Aは膀胱がん手術後のストーマ購入が必要な状況にあり、原告Bは定期的な投薬がなければ生命に危険が生じる状況にあったことから、保護の停止により原告らが被る不利益は甚大であると認め、本件停止処分は相当性を欠き違法であると結論づけた。国家賠償請求については、処分行政庁が過去に別の裁判で保護廃止処分を違法とする判決を受けていたこと、三重弁護士会からの行政指導中止勧告を顧慮しなかったこと等から、漫然と本件停止処分をしたと評価し、原告らにそれぞれ慰謝料5万円及び弁護士費用5万円の合計10万円の損害賠償を認容した。