AI概要
【事案の概要】 DVDソフト等の製作を業とする原告(株式会社グルーヴ・ラボ)が、氏名不詳者がファイル共有ネットワークであるBitTorrent(ビットトレント)を使用して原告の著作物である動画の複製物を公衆送信し、著作権(公衆送信権)を侵害したことが明らかであるとして、インターネット接続サービスを提供する被告(エキサイト株式会社)に対し、プロバイダ責任制限法5条1項に基づき、上記通信に係る発信者情報(氏名又は名称、住所、電話番号及び電子メールアドレス)の開示を求めた事案である。原告は調査会社に依頼し、ビットトレントのクライアントソフト「μTorrent」を用いて侵害行為の監視調査を行い、発信者のIPアドレス等を特定した。 【争点】 本件の争点は、本件通信が調査会社が本件動画の複製ファイルをダウンロードした際の通信であるといえるかという点である。被告は、(1)μTorrentは一般社団法人テレコムサービス協会が認定する監視ソフトウェアではなく信頼性が確認されていないこと、(2)キャプチャー画像に「下り速度」の表示がなくダウンロードが進行していないこと、(3)キャプチャー画像に複数の発信者が表示されており本件発信者以外からダウンロードした可能性があることを主張した。 【判旨】 裁判所は原告の請求を全部認容した。まず、キャプチャー画像上で調査会社の端末が「ダウンロード中」の状態であり、実際に動画の複製ファイルがダウンロードされていることを認定した。また、類似の調査において約21.3%のデータをダウンロードするのに約50分かかったが、その間ピアに割り当てられたIPアドレスは一度も変化しなかった事実から、本件調査でも同様であったと推認した。被告の主張に対しては、(1)μTorrentが認定監視ソフトでないことから直ちにIPアドレス表示の正確性に疑義が生じるとはいえない、(2)「下り速度」の表示がなくても同様の表示状態で実際にダウンロードできている実績がある、(3)μTorrentの仕様上、複数の発信者が表示される場合にはいずれの発信者からもピースをダウンロードできる仕組みであり、本件発信者からもダウンロードしていたと推認できるとして、いずれも排斥した。以上から、発信者による著作権侵害が明らかであり、損害賠償請求等のために発信者情報の開示が必要であるとして、開示を命じた。