AI概要
【事案の概要】 原告(カバー株式会社)は、令和3年12月22日、「hololive Indonesia」の文字を標準文字で表してなる商標(本願商標)について、第3類、第9類、第14類、第16類、第18類、第21類、第24類〜第26類、第35類、第41類及び第43類に属する商品及び役務を指定して商標登録出願をした。原告は、VTuber(バーチャルYouTuber)のキャラクターグループ「hololive」を管理・運営する企業であり、「hololive Indonesia」はインドネシアを拠点に活動するVTuberグループの名称として使用されていた。本願商標は令和4年8月1日付で拒絶査定を受け、原告は拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は令和5年9月22日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をした。審決は、本願商標の構成中「Indonesia」の文字が商品の産地又は役務の提供場所を表示したものと認識・理解する需要者も相当程度存在するとし、本願商標は商標法4条1項16号に該当すると判断した。原告はこの審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 本願商標「hololive Indonesia」が商標法4条1項16号(商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標)に該当するか。具体的には、(1)本願商標の需要者をどのように画定すべきか、(2)「Indonesia」の文字が商品の産地・役務の提供場所として認識されるか、(3)原告のVTuberグループ名称としての周知性により誤認のおそれが否定されるか、(4)アイドルグループ名称における地名使用の慣行が判断に影響するか、が争われた。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本願商標のうち「hololive」の部分は辞書に載っていない造語であり自他商品・役務の識別力を有するのに対し、「Indonesia」の部分は東南アジアの共和国であるインドネシアの欧文表記として需要者が容易に理解できると認定した。そして、自他商品又は役務の識別力を有する文字と「インドネシア」あるいは「Indonesia」の文字を組み合わせた商標が、インドネシアで生産される物又はインドネシアで提供される役務に関して使用されている実例(Zalora Indonesia、マクドナルドインドネシア等)が多数存在することを指摘した。また、本願の指定商品・役務には一般消費者が需要者となるものが含まれ、これに対応する商品・役務でインドネシアに由来するものが日本で販売・提供されている事実を認定した。以上から、本願商標をインドネシアで生産・販売された商品以外の商品やインドネシアに関する役務以外の役務に使用した場合には、商品又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあると判断した。原告の主張については、指定商品・役務の需要者はVTuberグループのファンに限られないこと、「hololive」等の周知性を裏付ける証拠が不十分であること、芸能人グループ名称における地名使用の慣行に関する主張も一般需要者が本願商標を芸能人グループの名称と認識するとはいえないとして、いずれも排斥した。