AI概要
【事案の概要】 原告(医療法人社団ベスリ会)は、「ベスリ会」及び「東京TMSクリニック」の文字を上下二段に書してなる商標(本願商標)について、第44類「精神療法及び物理療法による治療、磁気刺激療法による精神治療、磁気刺激療法に関する医療情報の提供」を指定役務として商標登録出願をした。特許庁は、本願商標が登録第6481795号商標「東京TMSクリニック」(引用商標、標準文字)と類似し、商標法4条1項11号に該当するとして拒絶査定をし、不服審判請求も不成立とする審決をしたため、原告がその取消しを求めた事案である。 【争点】 本願商標が引用商標と類似する商標であり商標法4条1項11号に該当するか否か。具体的には、(1)本願商標の構成中「東京TMSクリニック」の文字部分を要部として抽出し引用商標と比較することの当否、(2)「東京TMSクリニック」の文字部分が出所識別標識としての機能を有するか、(3)「ベスリ会」の文字部分が強く支配的な印象を与え要部の抽出を妨げるか、(4)本願商標と引用商標の外観・称呼・観念の類否が争われた。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、まず本願商標の構成について、「ベスリ会」と「東京TMSクリニック」の各文字部分は視覚上分離して看取され得るものであり、観念上のつながりにより常に一体不可分のものとして認識すべき理由はないと認定した。「東京TMSクリニック」の文字部分については、「TMS」の語から直ちに「経頭蓋磁気刺激」を想起するとは認められず、むしろ何らかの造語と認識する可能性が高いこと、「クリニック」の語が他の語と組み合わされて特定の診療所の名称を表す取引の実情が認められることから、全体として一種の造語と認識され、特定のクリニックの名称を表したものとして出所識別標識の機能を果たし得ると判断した。他方、「ベスリ会」の文字部分は医療法人の名称を示すものとして出所識別標識の機能を有しないものではないが、医療法人名と医療機関名が組み合わされた場合の取引の実情に鑑みると、その機能は相対的に弱いものとなると認定した。以上を総合し、「東京TMSクリニック」の文字部分が取引者・需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから、同部分を要部として抽出して引用商標と比較することは許されるとした。そして、本願商標の要部と引用商標は外観上類似し、称呼及び観念が同一であるから、両商標は類似の商標であり、指定役務も類似することから、商標法4条1項11号に該当するとして審決に誤りはないと結論づけた。