商標使用料等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4ネ10117
- 事件名
- 商標使用料等請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2024年4月10日
- 裁判官
- 清水響、浅井憲、勝又来未子
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、「東京芸術センター」「神戸芸術センター」「福岡芸術センター」等の商標権を有する控訴人(設計会社)が、被控訴人(不動産賃貸事業を営む綜合商事株式会社)に対し、主位的に商標使用許諾契約に基づく使用料の支払を、予備的に商標権侵害の不法行為に基づく使用料相当額の損害賠償を求めた事案である。控訴人と被控訴人はいずれも同族企業であり、被控訴人の代表取締役Dが控訴人の代表者も兼務していた。Dは被控訴人の代表者として不動産貸与事業を主導し、本件各物件の名称を決定するとともに、控訴人名義で商標登録出願を行った。その後、税理士から無償使用は寄附金に当たるとの指摘を受け、控訴人と被控訴人との間で商標使用許諾契約書が作成された。被控訴人は平成21年8月から平成28年2月まで使用料を支払っていたが、その後支払を停止した。原審(東京地裁)は、商標使用許諾契約の成立を認めず、損害賠償請求も権利濫用として棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 (1) 商標使用許諾契約書が真正に成立し、原被告間に商標使用許諾契約が締結されたか(利益相反取引に関する取締役会の承認の有無を含む) (2) 被控訴人による原告各商標の「使用」の有無 (3) 原告の不法行為に基づく損害賠償請求が権利濫用に当たるか (4) 損害額 【判旨】 控訴審は原判決を変更し、予備的請求(不法行為に基づく損害賠償請求)を認容した。まず、商標使用許諾契約については、Dが被控訴人の取締役であると同時に控訴人の代表者でもあったことから、会社法356条1項2号の利益相反取引に該当するところ、契約締結に必要な被控訴人の取締役会の承認決議がなされたとは認められないとして、被控訴人は同契約の無効を主張できると判断し、契約に基づく主位的請求を棄却した。次に、被控訴人による原告各商標の「使用」については、被告標章4から6(館銘板やウェブサイトでの使用)について商標法上の「使用」に該当すると認定した。権利濫用の抗弁については、商標権を事業主体である控訴人が取得し使用料の支払を受けることは不自然でないこと、使用料額が売上高に対する商標権の全分類ロイヤルティ率平均2.6%と比較しても低廉であること、Dが取締役会の承認を得ることが困難であったとはいえないこと、被控訴人自身も平成21年から約6年半にわたり使用料を支払っていたこと等を総合考慮し、権利濫用には当たらないと判断した。損害額については、商標法38条3項により使用料相当額をもって算定し、商標使用許諾契約書に記載された月額合計75万6000円(消費税込み)を基準として、平成28年4月1日から令和元年9月30日までの42か月間で合計3175万2000円の支払を命じた。