AI概要
【事案の概要】 原告ら(X1・X2)は、「知財実務オンライン」の文字を標準文字で表してなる商標(商願2020-68749)について商標登録出願をした。指定商品役務は、知的財産に関する電子出版物の閲覧用プログラム、映像提供、セミナーの企画・運営、情報の提供等(第9類・第41類・第45類)である。原告らは、令和2年6月から「知財実務オンライン」の名称でYouTubeチャンネルを開設し、毎週木曜日に知的財産実務に関する動画を配信していた。特許庁は拒絶査定を行い、不服審判においても「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をした。審決は、本願商標が商標法3条1項3号(品質等表示)に該当し、同条2項(使用による識別力の獲得)の要件も満たさないと判断した。原告らはこの審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 (1) 商標法3条1項3号該当性の判断の誤り(取消事由1):本願商標「知財実務オンライン」が、指定商品又は指定役務の品質・質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当するか。原告らは、第三者による使用がないこと、間接的表示にすぎないこと、造語であること、定期刊行物との共通性等を主張した。 (2) 商標法3条2項該当性の判断の誤り(取消事由2):本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識できるに至ったか(自他商品役務識別力の獲得)。原告らは、約3年4か月・191回の動画配信実績、知財系YouTubeチャンネル登録者数第1位(約4200人)、著名人の出演等を主張した。 【判旨】 裁判所は、原告らの請求をいずれも棄却した。取消事由1について、「知財実務」は「知的財産に関する実務」を意味する一般的な用語であり、「オンライン」も「インターネットを利用した」等を意味する一般的に用いられる用語であるとした。「○○オンライン」標章の一般的な実情を検討し、「オンライン」の前の文字が提供される商品又は役務の一般的名称と理解されるものと、識別標識として機能するものに大別されるが、いずれにおいても「オンライン」の文字が果たす意味合いは本質的に同じであるとした。そして、本願商標は「知的財産に関する実務の情報をオンラインで提供するもの」、すなわち商品の品質又は役務の質を表示したものと認識されるとし、商標法3条1項3号に該当するとした審決の判断に誤りはないとした。取消事由2については、使用期間が約3年4か月とさほど長期間とはいえないこと、需要者は知財業界の専門家に限らず広く知的財産に関心のある者を含むべきところ、チャンネル登録者数約4100〜4200人は需要者のごく一部をカバーしているにすぎないこと、著名人の出演は動画のクオリティの高さを示すにとどまり出所を認識させる理由にはならないこと等から、本願商標が自他役務識別力を獲得しているとまでは認められないとして、商標法3条2項の要件を満たさないとした審決の判断にも誤りはないとした。