AI概要
【事案の概要】 被告人は、令和5年10月17日午前10時48分頃、釧路市内のA病院駐車場の一般外来用出入口付近において、普通乗用自動車を発進させて駐車場内を進行するに当たり、同出入口付近は多数の歩行者の往来が想定される場所であったにもかかわらず、歩行者の有無に留意せず、自車進路上に歩行者はいないものと軽信して漫然と発進した。その結果、左方から右方に向かって駐車場内を歩行中の母親B(当時40歳)及びその娘C(当時4歳)を左前方約2.2メートルの地点に迫って初めて認めたが、ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込み、時速約10キロメートルで進行して両名に衝突させ、駐車場内に転倒させた。さらに、Cを左前輪でれき過した後、直ちに停止すべきであったにもかかわらず、不用意に後退進行し、転倒していたCを左前輪で再度れき過した。Cは外傷性肝損傷及び両側肺挫傷等の傷害を負い、同日午後0時15分頃、出血性ショックにより同病院で死亡した。母親Bも加療約21日間を要する全身打撲症の傷害を負った。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を禁錮1年8月(執行猶予3年)に処した(求刑:禁錮1年8月)。量刑理由として、裁判所は以下の事情を指摘した。 不利な事情として、①多数の歩行者の往来が想定される総合病院の出入口付近で、歩行者の安全確認やアクセル・ブレーキの的確な操作という自動車運転者としての基本的な注意義務を怠った上、不用意に後退して転倒していた被害者をれき過しており、過失の程度は小さくないこと、②わずか4歳の幼い命が失われ、母親にも軽くない傷害を負わせた結果は重大であること、③目の前で愛する娘の命を失った母親の悲しみや精神的苦痛は大きく、厳罰を望む心情は十分に理解できることを挙げた。 他方、有利な事情として、①被告人が加入する対人賠償無制限の任意保険により被害者らの医療費が支払われ、その余の損害についても賠償がなされる見込みがあること、②被告人が自身の過失を認めて反省の態度を示し、保有する自動車をすべて処分して今後は運転しない旨述べていること、③交通前歴1件のほかには犯罪歴が見当たらないことを考慮し、刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。