AI概要
【事案の概要】 本件は、高知刑務所の刑務官であった被告人Aが、同刑務所に懲役受刑者として収容されていたCと、刑務所外にいた被告人Bらとの連絡を仲介するという職務上不正な行為を行い、その謝礼等の趣旨で被告人Bから賄賂を収受した加重収賄の事案と、被告人BがCと共謀の上、被告人Aに賄賂を供与した贈賄の事案である。 被告人Aは、令和5年7月12日から同年8月14日までの間、14回にわたり、手紙の授受や電話連絡等の方法により、受刑者Cと被告人Bらとの不正連絡を仲介した。その対価として、被告人Bから3回にわたり銀行口座への振込みにより現金合計16万円を無利息で借り受け、賄賂を収受した。被告人Bは、Cと共謀の上、Cが関与したとされる詐欺事件の捜査状況という、刑務所の外部交通に関する正規の手続ではやり取りできない内容を伝える手紙を複数回にわたってCに閲覧させるなど、不正連絡を積極的に利用していた。 【判旨(量刑)】 被告人Aについて、裁判所は、刑務官として刑罰権を適正に行使し受刑者の更生と社会復帰を促す立場にあったにもかかわらず、その職責に背いて多数回にわたり不正連絡を仲介し、16万円という少なくない額を無利息・無担保で借り受けた行為は、刑務所の規律と秩序を阻害し受刑者の更生を妨げるものとして厳しく非難した。ギャンブル等による借金の返済資金や遊興費を得るための短絡的な動機にも酌むべき点はないとした。一方で、犯行を認め反省していること、前科前歴がないこと、母親による監督の誓約等の有利な事情を考慮し、懲役1年6月・執行猶予3年とした(求刑:懲役1年6月)。 被告人Bについて、裁判所は、受刑者Cと共謀して刑務官を利用し不正連絡の仲介に対する謝礼として賄賂を供与したこと、正規の手続では許されない情報伝達を行うなど犯行に積極的に関与したことを指摘した。さらに、平成31年4月に懲役2年・執行猶予4年の有罪判決を受けながら、その執行猶予期間満了から約3か月後に本件犯行に及んでおり、更生意識の欠如を厳しく指摘した。犯行を認め反省していること等の有利な事情を考慮しても実刑はやむを得ないとして、懲役8月の実刑とした(求刑:懲役10月)。