AI概要
【事案の概要】 本件は、出版社である原告KADOKAWA、原告集英社及び原告小学館が、各著作権者から本件作品(漫画)の出版及び公衆送信について出版権又は独占的利用権の設定を受けていたところ、被告が管理・運営に関与していたウェブサイト「漫画村」(本件サイト)において、本件作品の画像データを自動公衆送信(送信可能化を含む)したことが、原告らの出版権又は独占的利用権を侵害するとして、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。本件サイトは、「漫画村」と称するウェブサイト群(com、net、orgの3ドメイン)であり、数万件以上の漫画作品等の画像データを不特定多数の利用者が無償で閲覧可能な状態に置いていた。本件サイトの利用期間は平成29年6月から平成30年4月までであり、同期間のアクセス総数は5億3781万回超と推計された。被告は福岡地方裁判所において著作権法違反等により懲役3年及び罰金1000万円等の有罪判決を受け、同判決は確定している。被告は、本件サイト(com)の設立やシステム開発・管理等に関与したことは認めつつも、本件サイト(net)及び(org)への関与や、画像データのアップロードへの関与を否認し、消滅時効も援用した。 【争点】 (1) 被告による権利侵害(公衆送信・送信可能化)の有無、(2) 被告の故意の有無、(3) 損害額(著作権法114条3項に基づく算定)、(4) 消滅時効の成否(原告らが損害及び加害者を知った時期)。 【判旨】 裁判所は、原告らの請求をいずれも主文の限度で認容した。争点(1)について、被告は本件サイトの開設当初から閉鎖に至るまで、3つのドメインすべてにわたり管理・運営に一貫して連続的かつ積極的に関与していたと認定した。本件作品の画像データは、リバースプロキシの設定により第三者サーバから取得されたデータを本件サイトのサーバを介して閲覧可能とする方法(方法2)で掲載されており、これは著作権法2条1項9号の5イの送信可能化に該当すると判断した。被告のリバースプロキシ設定はリーチサイトとは異なり、本件サイトのサーバを介してデータが提供されるものであるから、単なるリンク掲載とは同視できないとした。争点(2)について、被告には故意があったと認定した。争点(3)の損害額について、著作権法114条3項に基づき、原告らが「受けるべき金銭の額に相当する金額」を算定するにあたり、本件サイトではユーザーが無償で制限なく作品を閲覧可能であり、実質的に電子配信された作品を購入したのと異ならない状態であったことを考慮し、販売価額(税込)から10%を控除した金額に各作品の閲覧数7410回を乗じた額が相当であるとした。争点(4)の消滅時効について、原告らが「加害者を知った時」は、原告集英社については警察から被疑者特定の情報提供を受けた平成31年4月16日、原告KADOKAWA及び原告小学館についてはフィリピン入国管理局が被告を拘束したことが発表された令和元年7月9日であると認定し、いずれも消滅時効は完成していないと判断した。以上により、原告KADOKAWAに対し約4億575万円、原告集英社に対し約4億2923万円、原告小学館に対し約9億165万円の損害賠償を認容した。