各株券引渡請求及び独立当事者参加事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 公開会社でない株券発行会社である植宗エクステリア(以下「会社」という。)は、設立以来、株券を発行したことがなかった。被告植宗は、会社設立時に引き受けた株式200株(本件株式1)を平成24年にAに譲渡し、取締役会の承認を得た。また、被告Y1は、会社の募集株式310株のうち240株(本件株式2)を平成18年にBに譲渡し、さらにBは平成25年にCに譲渡し、いずれも取締役会の承認を得た。しかし、これらの譲渡はいずれも株券発行前に行われたため、株券の交付はなされなかった。その後、A及びCは平成29年に、債権者代位権に基づき各譲渡人の会社に対する株券発行請求権を行使し、会社から直接株券の交付を受けた。原告は、令和2年にA及びCからそれぞれ株式の譲渡を受け、株券の交付も受けた上で、被告らに対し、原告が各株式を有する株主であることの確認等を求めた。 【争点】 (1) 株券発行前にされた株券発行会社の株式譲渡は、会社法128条1項により、譲渡当事者間においてもその効力を生じないか。 (2) 株式の譲受人が債権者代位権に基づき譲渡人の株券発行請求権を代位行使し、会社から直接交付を受けた文書は、株券としての効力を有するか。 【判旨】 破棄差戻し。会社法128条2項は、株券の発行前にした譲渡につき、株券発行会社に対する関係に限ってその効力を否定している。同条1項が株券発行前の譲渡にも適用され、譲渡当事者間でも効力を生じないと解すると、同条2項の規定を別に設けた意味が失われる。また、株券発行前の譲渡につき、譲渡当事者間での効力まで否定すべき合理的必要性もない。したがって、同条1項は株券の発行後にした譲渡に適用される規定であり、株券発行前にした株式譲渡は、譲渡当事者間においては株券の交付がなくてもその効力は否定されない。また、株式の譲受人は、譲渡人に対する株券交付請求権を保全するため、民法423条1項本文により譲渡人の会社に対する株券発行請求権を代位行使でき、その際、会社に対し株券の直接交付を求めることができる。会社がこれに応じて会社法216条所定の形式を具備した文書を直接譲受人に交付したときは、譲渡人に対する株券交付義務を履行したことになり、当該文書は株券としての効力を有する。