AI概要
【事案の概要】 被告会社は、三重県に本店、大阪府泉南市に支店を置き、水産物の販売及び輸出入等を営む株式会社である。被告人a3は同支店における水産物の仕入れ・管理及び販売等の業務を統括する取締役、被告人a2は代表取締役、被告人a4は営業課長、被告人a5はセンター長、被告人a6は営業等を担当する係長であった。 本件の公訴事実は大きく分けて、(1)不正競争防止法違反(産地偽装)、(2)廃棄物処理法違反(貝殻の海洋投棄)、(3)船舶安全法違反(日没後の航行禁止条件違反)の3つである。不正競争防止法違反の事実は、被告人5名が共謀の上、平成28年11月から平成29年2月にかけて合計20件の取引において、中国産養殖くえを「山口天然クエ」「長崎県産」などと産地を偽装して販売し、代金合計約127万円で販売譲渡したというものである。また、廃棄物処理法違反として、被告会社の業務で出た貝殻(合計約4トン)を複数回にわたり海洋に投棄し、船舶安全法違反として日没後の航行禁止条件に違反して船舶を航行させた事実も起訴された。 【争点】 不正競争防止法違反について、弁護人らは、(1)販売されたくえが中国産であることは立証されていない、(2)被告人5名には産地偽装の故意も共謀もないと主張した。裁判所は、(1)について、売上げデータ、B品報告記入表の「産地or仕入先」欄の「中国」との記載、仕入れと販売の状況等から、本件各取引の対象となったくえはいずれも中国産であり産地偽装が行われたと認定した。(2)について、被告人a3はくえの仕入れ全てを担当し、仕入れたくえの約95%が中国産であることを概ね認識していたこと、配送価格表等に国産くえの表示しかなかったこと等から、産地偽装の故意が認められるとした。一方、被告人a2、a4、a5及びa6については、それぞれ仕入れに直接関与しておらず、会議資料等による具体的な情報共有も認められないとして、産地偽装の故意を認定できないと判断した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、不正競争防止法違反について被告会社及び被告人a3を有罪とし、被告人a2、a4、a5及びa6を無罪とした。産地偽装は2か月余りの間に20回にわたり合計305尾の中国産くえを国産と偽装して販売したもので、公正な競争を阻害し消費者の信頼を大きく揺るがすものであるが、被告人a3を産地偽装のただ1人の責任者として非難することはできないとした。廃棄物処理法違反及び船舶安全法違反については関与した各被告人の事実を認定した。被告会社を罰金420万円、被告人a3を懲役2年及び罰金110万円(懲役刑につき3年間執行猶予)、被告人a4を罰金40万円(不正競争防止法違反は無罪)、被告人a5を罰金40万円(同無罪)、被告人a6を罰金10万円(同無罪)にそれぞれ処した。