地位確認等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和5ネ329
- 事件名
- 地位確認等請求控訴事件
- 裁判所
- 札幌高等裁判所
- 裁判年月日
- 2024年4月19日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 佐久間健吉、力元慶雄、佐久間健吉
- 原審裁判所
- 函館地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 被告会社の従業員であり、労働組合の書記長を務めていた原告が、被告会社からなされた懲戒解雇が違法・無効であると主張して、被告会社に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、被告会社に対しては不法行為による損害賠償請求権に基づき、被告会社代表者に対しては会社法429条1項による損害賠償請求権に基づき、慰謝料100万円及び弁護士費用10万円の合計110万円並びに遅延損害金の連帯支払を求めた事案の控訴審である。原告は労働組合の執行委員長(平成24年11月から平成28年9月まで)を経て書記長となり、令和元年11月1日から組合専従となっていた。被告会社は、原告が組合三役以外の組合員に無給の組合休暇を取得させるため欠勤処理を行わせたこと(本件欠勤処理)等を理由に、令和2年11月27日付けで原告を懲戒解雇した。原審は、地位確認請求を認容し、損害賠償については55万円(慰謝料50万円及び弁護士費用5万円)の限度で認容したところ、被告会社及び被告会社代表者がそれぞれの敗訴部分を不服として控訴した。 【争点】 (1) 平成30年協議において、無給の組合休暇を取得できるのは組合三役に限る旨の合意(本件合意)が成立したか否か。(2) 本件欠勤処理が就業規則所定の懲戒事由に該当するか否か。(3) 会社敷地内での車両修理行為が道路運送車両法78条に違反するか否か。(4) 原告が同僚を脅迫して会社の業務を妨害したか否か。(5) 本件解雇が不当労働行為(労働組合法7条1号及び3号)に該当するか否か。 【判旨】 控訴棄却。裁判所は、まず本件合意の成立について、平成30年協議の当事者であった訴外Bの陳述書の記載を前提にしても、「他の組合員については今後の事情を踏まえ、継続的に協議しようとの回答でした」と記載されているだけであり、本件合意が成立したとは認められないと判断した。平成25年2月に無給の組合休暇を設ける旨の合意が成立し、それを制限する本件合意が存在しないにもかかわらず、被告会社が組合三役以外の組合員による無給の組合休暇の取得を認めなかったことから、原告が本件欠勤処理という手法を使ったとみることができるとした。本件欠勤処理が行われた従業員について年金や退職金の計算において不利益な影響があったとしても、従業員から苦情が出るなどして被告会社の業務に支障が生じたとか、財産上の損害が生じたといった事情は認められず、懲戒事由にはあたらないとした。車両修理についても、訴外Dが一度修理したことをもって自動車分解整備事業を経営しようとしていたとは認められないとし、脅迫の主張も認定できないとした。さらに、本件解雇は被告会社が不当労働行為意思をもって行ったものであり、原告に対する不法行為を構成すると評価した。以上より、原判決は相当であるとして控訴を棄却した。