贈賄、受託収賄幇助
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、文部科学省大臣官房長であった相被告人A1が、私立C大学の理事長であった被告人A2及び学長であった被告人A3から、文科省の「平成29年度私立大学研究ブランディング事業」に関し、C大学が支援対象校に選定されるよう事業計画書の記載等について助言・指導するなどの有利かつ便宜な取り計らいを受けたい旨の請託を受け、その謝礼として、A1の二男がC大学医学部医学科の一般入試を受験した際に点数を不正に加算し、正規合格者の地位を付与したという贈賄事件(原判示第1の2。被告人A2及びA3に対する贈賄罪)、及び被告人A4がA1の前記受託収賄を知りながら、A1がA2から請託を受ける場を設けて両者を面会させ、A1による事業計画書の助言・指導の内容をA2に伝えるなどしてこれを容易にした受託収賄幇助事件(原判示第1の3)、並びに被告人A4がJAXA理事であったF4に対し、Dの営業に関して有利かつ便宜な取り計らいを受ける目的で、21回にわたり代金合計約147万円相当の飲食等の接待をし、タクシーチケット1冊を供与した贈賄事件(原判示第2)である。 被告人A2、A3及びA4がそれぞれ原判決の事実認定や訴訟手続に法令違反・事実誤認があるとして控訴した。 【争点】 (1) 被告人A2の検察官調書の任意性・特信性(高齢・うつ病等の影響下での取調べの適法性) (2) 被告人A3の検察官調書等の違法収集証拠該当性(学長室での無令状捜索の有無) (3) A1が請託を受けたか否か(第二次I会食における会話の趣旨、事業計画書への助言・指導の有無) (4) 10点の加点が贈賄の対価としてなされたか(人脈形成目的か謝礼目的か) (5) 事業計画書の助言・指導がA1の職務に密接に関係する行為か(大臣官房長の職務権限) (6) 各被告人の贈賄・受託収賄幇助の故意及び共謀の有無 (7) F4に対する飲食接待が同人の職務に関する賄賂に該当するか 【判旨(量刑)】 東京高裁第8刑事部は、各争点について詳細に検討した結果、原判決の認定・判断に論理則・経験則等に照らして不合理な点はないと判断した。すなわち、被告人A2の検察官調書の任意性は認められ、被告人A3の学長室における証拠収集に令状主義を潜脱する意図は認められず重大な違法はないとした。事実認定については、第二次I会食の録音データ等の客観的証拠から、A1が事業計画書の助言・指導の請託を受け、その謝礼として二男への加点がなされたと認定した原判決に誤りはなく、A1の職務密接関連性も肯定した。被告人A4のF4に対する贈賄についても、宇宙飛行士の講師派遣やJAXA人工衛星の利用に関する便宜供与の謝礼及び将来の便宜への期待のもとになされたものと認めた。以上により、刑訴法396条に基づき被告人A2、A3及びA4の各控訴をいずれも棄却した。