AI概要
【事案の概要】 被告人は、保育所の経営を目的とする社会福祉法人(本件法人)の理事長であり、本件法人の統括会計責任者かつ保育園3園の会計責任者として、各保育園の預金の管理等の業務に従事していた者である。被告人は、各保育園の建替えや修繕費として長年にわたり積み立てられていた保育所施設・設備積立金に係る定期預金口座を解約して保育園名義の普通預金口座に入金したり、各保育園の運営資金を同口座に振込入金するなどした上、自己の用途に費消する目的で、令和5年7月23日から同月24日までの間に3回にわたり合計6400万円を、同月31日から同年8月2日までの間に4回にわたり合計1億8700万円を、それぞれ被告人名義の口座等に振込入金して横領した。被害総額は合計2億5100万円に上る。被告人がマッチングアプリで知り合った女性に騙されたことが犯行の動機とされている。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を懲役4年の実刑に処した(求刑は懲役7年6月)。量刑理由として、まず犯行態様の悪質性を指摘し、本件法人が運営する各保育園の口座をほしいままに利用した点、合計7回にわたり横領行為を繰り返しておりこの種事犯に対する規範意識の鈍麻が明らかである点、被害総額2億5100万円という被害結果が甚大である点を挙げた。動機についても、マッチングアプリで知り合った女性に騙された事実を踏まえても、保育園の預金を自己の用途に費消した横領行為を正当化する理由にはなり得ず、酌量の余地はないとした。他方、被告人が2600万円を支払った上で毎月3万円を返済するとの内容で本件法人との間で示談が成立し、本件法人が寛大な処分を求める意向を示していること、被告人が事実を認め謝罪の言葉を述べていること、実母が被害弁償への協力を申し出ていること、前科前歴がないことなどの酌むべき事情を考慮しても、被害結果の甚大さからしておよそ刑の執行を猶予すべき事案とはいえないと判断し、実刑が相当とした。