AI概要
【事案の概要】 原告は、トラック・バス及び特殊車両の販売・整備等を行う株式会社である。被告は、原告の総務・経理部に配属されていた元従業員であり、平成13年11月頃から同部課長、その後次長、部長を歴任し、原告の金銭の出納・保管及び預金の引出等の業務に従事していた。原告は、被告が平成19年1月頃から令和4年1月27日までの約15年間にわたり、(1)原告名義の預金口座から少なくとも計142回にわたり計4億2000万円の払戻しを受けて取得し、(2)原告のレジスターから少なくとも計13回にわたり現金計8015万円を取得し、(3)被告の実兄が代表者を務める運送会社への運送料支払名下に、架空の運送伝票を作成するなどして原告の預金又は現金から差額計6406万2889円を取得し、合計5億6421万2889円の損害を与えたとして、不法行為に基づく損害賠償等を請求した事案である。原告は、令和5年3月13日までに被告及び分離前相被告らから計1億3526万9469円の弁償を受けており、残額等の支払を求めた。また、原告は、被告との間で裁判費用・弁護士費用等の支払合意に基づく請求及び代物弁済に係る立替金の求償請求も併せて行った。 【争点】 (1) 被告による預金口座からの払戻し、レジスターからの現金取得、架空運送料名下の金銭取得の各不法行為の成否及び損害額 (2) 被告が謝罪文・顛末書・供述書等に署名押印した経緯(原告側から長時間罵倒されたために署名したとの被告の主張の当否) (3) 裁判費用・弁護士費用等の支払合意の成否 (4) 代物弁済に係る立替金の求償請求の可否(被告自身の分及び分離前相被告らの分について被告が黙示的に連帯債務を引き受けたか) (5) 不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の額 【判旨】 裁判所は、原告の請求を大部分認容した。預金口座からの払戻し、レジスターからの現金取得、架空運送料名下の金銭取得の各不法行為について、謝罪文・顛末書・供述書等の証拠及び弁論の全趣旨からいずれも事実が認められるとした。被告は、これらの書面について原告側から長時間罵倒等されたため署名押印したと主張したが、原告常務取締役の陳述書に反対趣旨の供述記載があることに照らし、被告の主張は採用できないとした。不法行為に基づく損害賠償については、損害額合計5億6421万2889円から弁償済みの1億3526万9469円を控除した残額4億2894万3420円を認め、弁護士費用については請求額4289万円に対し4000万円を相当と認定した。裁判費用等の支払合意に基づく60万5000円及び被告自身の代物弁済に係る立替金17万7365円の各請求も認容した。他方、分離前相被告らの代物弁済等に係る立替金について被告が黙示的に連帯債務を引き受けたとの主張については、被告が代物弁済契約書の取交し時に同席していた事実だけでは連帯債務引受けの黙示の申込みを基礎付けるに足りないとして棄却した。以上により、合計約4億6972万円及び遅延損害金の支払を命じた。