AI概要
【事案の概要】 原告は、画像編集ソフトで猫のキャラクター「おんねこ」の漫画イラスト(画像1ないし4)を作成した者である。株式会社ラウンドワンが令和4年6月及び12月に、短文投稿サービス「X」上の同社アカウントにおいて、クレーンゲームの景品として使用するラウンドワン限定キャラクターを募集する投稿を行ったところ、氏名不詳の発信者が同年12月22日、Xに開設したアカウントを通じて原告の上記各画像を添付し、原告の作品をプライズ化の候補として推薦する投稿を行った。原告は、この投稿が各画像に係る著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害するものであるとして、プロバイダ責任制限法5条2項に基づき、関連電気通信役務提供者である被告(株式会社ベイ・コミュニケーションズ)に対し、発信者情報の開示を求めた。 【争点】 主な争点は、本件各画像に係る原告の著作権が侵害されたことが明らかであるといえるかである。具体的には、(1)本件各画像が著作物に該当するか(被告は、イラスト部分はありふれたデザインのパーツの組合せにすぎず創作性を欠くと主張)、(2)本件投稿が著作権法32条1項の適法な引用に該当するか(被告は、原告作品の補足説明資料としての添付であり、プライズ化の是非に関する批評目的で出所も明示されているとして引用の抗弁を主張)が争われた。 【判旨】 裁判所は請求を認容した。まず著作物性について、画像1はフード付きの上着を着て直立する猫が振り返る様子をイラストにしたもので、全体的に丸みを帯び頭部を大きく描くなどの表現に作成者の個性が現れていると認定した。画像2も同様に、タルト様の菓子を三体の動物が見つめる様子に強い印象と愛らしさが表現されているとした。画像3及び4はセリフ等が挿入された漫画であり、イラスト・セリフ双方に選択の幅がある中から作成者があえて選んだ表現であるとして、いずれも美術又は言語の著作物に該当すると判断した。次に著作権侵害について、本件投稿は各画像を有形的に再製するとともに、不特定又は多数の者が閲覧できる状態に置くものであるから、複製権及び公衆送信権を侵害すると認定した。引用の抗弁については、証拠上、投稿の文章部分は原告が募集投稿に応募した際の内容を一部改変した形で流用したものであり、原告の作品や応募を揶揄ないし茶化すものと評価できるとして、報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われたとは認められず、適法な引用には該当しないと判断した。以上から、原告の著作権侵害は明らかであり、損害賠償請求のために発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとして、被告に発信者情報の開示を命じた。