配転命令無効等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被控訴人ら(原告ら)は、控訴人会社(被告会社)の従業員であり、控訴人会社の労働組合の組合員であった。控訴人会社は、被控訴人Bに対して函館営業所から鹿部出張所へ、被控訴人Eに対して函館営業所から江差営業所へ、被控訴人Cに対して日吉営業所から森出張所へ、被控訴人Dに対して函館営業所から江差営業所への配置転換をそれぞれ命じた。被控訴人Cは一旦森出張所で勤務したものの、その後退職し、被控訴人Dも江差営業所では勤務できないとして退職した。被控訴人B及び被控訴人Eは、配転命令が無効であるとして配転先での勤務をしなかったところ、無断欠勤を理由に懲戒解雇された。 被控訴人らは、各配転命令は控訴人会社と労働組合との間の協約書7条2項(配置転換について労使協議を要する旨の条項)に違反し無効であること、配転命令に従わなかったことを理由とする懲戒解雇も違法・無効であることを主張し、控訴人会社及びその代表取締役である控訴人Aに対し、労働契約上の地位確認、未払賃金・賞与の支払、損害賠償等を求めた。原審(函館地裁)は被控訴人らの請求を概ね認容し、控訴人らが控訴した。 【争点】 1. 協約書7条2項(配置転換に関する労使協議条項)の効力と、同条項違反による配転命令の有効性 2. 懲戒解雇の有効性(告知聴聞の機会を放棄した者が訴訟で懲戒事由を争うことの信義則違反の有無) 3. 配転命令の業務上の必要性と不当労働行為該当性 4. 被控訴人Bに対する冬期手当の一部弁済の扱い 5. 労働組合からの借入れによる損害の補填の有無 【判旨】 控訴棄却。札幌高裁は、原審の判断を支持し、以下のとおり判示した。 協約書7条2項は、労働協約である昭和30年協約10条と同義の内容が労使協議により改定を重ねる中で廃止されず存続したものであり、運用上協議がなされていなかったことが多かったとしても、それだけでは当該規程の適用を除外すべき事情があったとはいえない。従業員の意思に明確に反する配転が多数行われていたことを裏付ける的確な証拠はなく、労働組合側で協議をする必要性がなかったといえるが、配転対象者の異議があったにもかかわらずなされた配転命令に対しては労働組合が抗議をしており、従業員の意思に反する配転には労使協議を経る必要性があると認識されていたのであるから、同条項は効力を有していたと解するのが合理的である。消滅時効や権利濫用の主張も排斥した。 告知聴聞の手続に出席しなかったことについても、不利益処分を課す上での手続的要件にすぎず、出席しなかったからといって訴訟で不服主張ができなくなるという失権効を有するとの法律上の根拠はなく、信義則にも反しないとした。 また、適正配置基準についての適切な裏付けを欠き、不当労働行為に該当するとの原審判断を維持した。被控訴人らが労働組合から毎月30万円の借入れをしている事実は損害の補填とは認められないとし、控訴人らの主張をいずれも退けた。なお、原判決中の遅延損害金計算書の計算誤りを職権で更正した。