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下級裁

殺人、名誉毀損、器物損壊

判決データ

事件番号
令和5う131
事件名
殺人、名誉毀損、器物損壊
裁判所
大阪高等裁判所
裁判年月日
2024年4月26日
裁判種別・結果
棄却
裁判官
長井秀典辛島明秋田志保

AI概要

【事案の概要】 被告人は、糖尿病の治療でインスリンを常用していた父親(被害者)に対し、殺意をもって2回にわたりインスリンを過剰に投与した。1回目は平成30年1月20日未明、2回目は同月26日午前中に、いずれも自宅で被害者が意識を失う状態に至らせた。1回目は被害者が回復したものの、2回目の投与により被害者は低血糖脳症による遷延性意識障害に陥り、回復の見込みのない状態で入院した。その後、誤嚥性肺炎の発症を契機に担当医師らが延命治療を中止して経管栄養を制限する判断をし、がんの進行と相まって同年6月28日に全身状態の悪化により死亡した(第1事実)。さらに被告人は、同年3月27日、被告人の弟(被害者)を父親方のトイレに呼び出し、練炭を燃焼させて一酸化炭素中毒により殺害した。被告人はあらかじめ弟名義の遺書を偽造し、自殺に見せかける工作を行っていた(第2事実)。このほか、被告人は名誉毀損文書の散布や器物損壊の犯行にも及んでいた(第3ないし第5事実)。原審は被告人を無期懲役に処し、弁護人・検察官双方が控訴した。 【争点】 本件の主要な争点は、(1)父親に対する1回目のインスリン投与が殺人の実行行為に当たるか、(2)2回目のインスリン投与と父親の死亡との間の因果関係の有無、(3)弟の殺害について被告人の犯人性、(4)各名誉毀損・器物損壊行為の認定の当否、(5)原審の訴訟手続における証拠採用等の法令違反の有無、(6)量刑の当否(検察官は死刑を求刑)である。弁護人は、インスリン投与と死亡の因果関係を争い、各犯罪事実の認定に事実誤認があると主張した。検察官は、1回目のインスリン投与も殺人の実行行為に当たるとし、無期懲役は軽きに失して死刑が相当であると主張した。 【判旨(量刑)】 大阪高裁は、弁護人・検察官双方の控訴をいずれも棄却した。まず弁護人の主張について、原審の証拠採用に法令違反はなく、訴因変更許可決定や訴因逸脱認定にも違法はないとした。事実認定については、被害者の血糖測定器の記録、被告人のインターネット検索履歴、犯行現場の状況証拠等から、被告人が2回にわたりインスリンを過剰投与したこと、弟を一酸化炭素中毒で殺害したことをいずれも合理的に認定できるとして、原判決の事実認定に誤りはないと判断した。インスリン投与と父親の死亡との因果関係についても、インスリンの過剰投与により遷延性意識障害に陥り経管栄養に頼らざるを得なくなったこと、誤嚥性肺炎を契機とする栄養制限とがんの進行が相まって死亡に至った経緯は、まさにインスリン過剰投与の危険性が現実化した結果であるとして、因果関係を肯定した。なお、原判決が1回目のインスリン投与について殺人の実行行為性を否定した点は事実誤認であるとしつつも、2回の投与は単一の殺害計画に基づく一体的な行為であり、犯罪の成否や罪数関係、量刑判断に実質的な影響を及ぼさないとした。検察官の死刑求刑については、2名の生命を奪った結果は非常に重大であり、強い殺意に基づく計画的犯行で執拗かつ巧妙な面があるとしながらも、第1事実の計画性は必ずしも緻密とはいえず行為の危険性も比較的低いこと、動機が不明で過去の死刑判決事案と比較して生命軽視の程度が低くみるほかないこと等から、死刑の選択が真にやむを得ないとまではいえないとして、無期懲役とした原判決の量刑は相当であると結論づけた。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。