AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社PROCEED)は、「トリニティ」の標準文字からなる商標権(第44類:美容、エステティック美容等の役務)を有するエステティックサロン経営会社である。被告会社(株式会社Aulii)は、かつて「Aulii Spa」の名称でハワイアンリラクゼーションサロンを運営していたが、平成30年3月19日に営業を停止していた。被告Aiは被告会社の代表取締役であり、株式会社トリニティから委託を受けて「トリニティ」の名称でハワイアンエステサロン(本件エステサロン)を経営していた。 被告Aiは、被告会社のウェブサイト(被告ウェブサイト1)を本件エステサロンのウェブサイトに流用し、「TRINITY」「トリニティ」「トリニティ(TRINITY)」「TRINITY Beauty School」等の標章を掲載した(本件行為1)。また、株式会社トリニティの代表取締役Biの指示により、被告ウェブサイト2及び3にも同様の標章を掲載した(本件行為2及び3)。原告は、これらの行為が原告商標権を侵害するとして、被告会社に対し差止め及び削除を、被告らに対し連帯して損害賠償金合計1408万円の支払を求めた。 【争点】 1. 被告らが株式会社トリニティとの共同不法行為責任又は任務懈怠責任(被告Aiについて)を負うか 2. 原告の損害発生の有無及び損害額 3. 差止め及び削除の必要性 【判旨】 裁判所は、まず争点1について、本件行為1に関しては、被告会社が平成30年3月に営業を停止して以降何らの営業活動もしていないこと、被告Aiが本件エステサロンの運営開始に際し被告ウェブサイト1を流用したものであること等から、被告会社の業務として本件行為1を行ったとは認められないと判断し、被告会社の不法行為責任及び被告Aiの任務懈怠責任をいずれも否定した。他方、本件行為2及び3については、株式会社トリニティの代表取締役Biが被告Aiに指示して行わせたものであり、被告Aiは本件エステサロンの経営者として株式会社トリニティと共謀して原告商標権を侵害したか、又はその侵害を幇助したものと評価でき、共同不法行為責任(民法719条)を負うと認めた。 争点2について、商標法38条2項所定の「利益」の額は、侵害に係る役務の売上高から追加的に必要となった経費を控除した限界利益であるところ、被告らが主張する保証金、礼金、家賃、保険料等の各経費はいずれも役務の提供に直接関連して追加的に必要となった経費とはいえず、マッサージオイル等の化粧品費用についても裏付けが不十分であるとして、売上高1836万5520円がそのまま「利益」の額と認められた。もっとも、原告が請求する損害額は1677万7790円であるため、同額の限度で損害を認定した。弁護士費用相当額は16万円とし、損害額合計は1837万7790円と認めた。被告らの覆滅事由の主張(顧客はAulii Spa時代からの既存客であり被告標章は売上げに寄与していない)については、カレンダーアプリの記載はニックネームのみで顧客の同一性を確認できないこと等から採用しなかった。 争点3について、本件行為1につき被告会社の責任は認められず、本件行為2及び3について原告は被告会社の責任を主張していないため、被告会社に対する差止め及び削除請求は理由がないとした。 以上より、被告Aiに対する損害賠償請求を主文第1項の限度(1408万円及び遅延損害金)で認容し、その余の請求をいずれも棄却した。