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【事案の概要】 被告人は、令和5年11月30日午前10時30分頃、群馬県富岡市の自宅において、実子である被害者(当時生後約10か月)に対し、持ち上げていた被害者の身体を勢いよくソファに押し付け、その頭部をソファの肘置きに打ち付ける暴行を加えた。この暴行により、被害者は重度発達障害及び左半身麻痺等の後遺障害を伴う全治不能の右急性硬膜下血腫、脳浮腫及び頭蓋骨骨折等の重篤な傷害を負った。 被告人は、二男である被害者について長男と比べて成長が遅いと考え、育児にストレスを感じていた。被害者が思ったような反応をしない際に軽く叩くなどの暴行をするようになっており、本件当日は体調不良で自宅にいたところ、外出した妻の代わりに被害者の面倒をみていた。被害者が泣きやまず、用意したミルクも飲まなかったことに腹を立て、とっさに本件犯行に及んだものである。さらに、被告人は被害者の受傷後、明らかな異変を感じながら救急車を呼ぶこともせず、自らの責任を逃れようと、119番通報した妻に虚偽の説明をさせるなど、犯行後の対応にも問題があった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を懲役3年の実刑に処した(求刑懲役5年)。未決勾留日数中80日が刑に算入された。 量刑の理由として、裁判所はまず犯行態様の危険性を指摘した。ソファに座った状態から生後約10か月の乳児の両脇を両手でつかんで持ち上げ、勢いよくソファに押し付けてクッション性が弱くなっていた肘置き部分に頭部を打ち付ける行為は、乳児の頭部に強い衝撃を与える危険なものであるとした。被害者が重度発達障害及び左半身麻痺等の後遺障害を伴う全治不能の傷害を負い、将来にわたり自らの意思で身体を動かすことができず医療や介護を要する可能性があることから、被害結果は相当に重大であると認定した。 動機・経緯についても、育児に悩みを抱えていたとはいえ、わずか生後約10か月の被害者にストレスをぶつけることは到底許されず、酌むべき余地は乏しいとした。加えて、犯行後に妻に虚偽の説明をさせた点も不利な情状として考慮された。 他方、被告人が反省していること、妻が監督を誓約し両親の支援も期待されること、前科がないことなどの有利な事情も考慮し、主文の刑が相当と判断した。