特許権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和5ネ10063
- 事件名
- 特許権侵害差止等請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2024年5月15日
- 裁判官
- 清水響、浅井憲、勝又来未子
- 原審裁判所
- 大阪地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、「電動式衝撃締め付け工具」に関する特許権を有する原告(ヨコタ工業株式会社)が、被告(アトラスコプコ株式会社)が輸入・販売する製品が本件特許発明の技術的範囲に属し、特許権を侵害すると主張して、被告製品の輸入・販売等の差止め、損害賠償(約4億6956万円に減縮)等を求めた事案の控訴審である。原審(大阪地裁)は差止請求を認容し、損害賠償として約4486万円の支払を命じたため、原告・被告双方が控訴した。 【争点】 主な争点は、本件発明の進歩性の有無(特許の無効理由の存否)である。具体的には、乙15発明(インナロータ型DCモータを備えるトルク制御式パルスツール)を主引用発明とし、乙6文献記載のアウタロータ型電動モータに関する発明及び周知技術に基づいて、本件発明が当業者にとって容易に発明できたものであったか否かが争われた。相違点として、(A)電動モータがアウタロータ型であるか否か、(B)磁石がステータ外周側に隙間を設けて貼設されているか否か、の2点が認定された。 【判旨】 知財高裁は、被告の控訴を認容し、原告の控訴を棄却した。裁判所はまず、電動式衝撃締め付け工具の技術分野において、電動モータの出力トルクを大きくすることが本件優先日当時の一般的課題であったと認定した。相違点Aについて、乙6文献にはパワーハンドツール用の高トルクのアウタロータ型電動モータが記載されており、乙15発明と技術分野を共通にし、本件課題の解決手段となることから、乙15発明に乙6発明を適用する動機付けがあり、阻害要因もないとして容易想到性を肯定した。相違点Bについても、接着剤を用いて磁石をロータに隙間を設けて貼設する技術は本件優先日当時の周知技術であり、乙6発明を適用した乙15発明に本件周知技術を適用する動機付けがあるとした。原告は相違点A・Bを分けて検討することの不当性や「容易の容易」に当たるとの主張をしたが、いずれも退けられた。以上から、本件発明及び訂正発明はいずれも進歩性を欠き、特許に無効理由があるとして、原告の請求を全部棄却した。