公有水面埋立撤回処分に対し国土交通大臣がなした裁決の取消請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 沖縄防衛局は、普天間飛行場の代替施設を名護市辺野古崎地区に設置するため、公有水面埋立法42条1項に基づく埋立承認を受けていたが、沖縄県副知事が同承認を取り消す処分(本件撤回処分)を行った。これに対し沖縄防衛局が行政不服審査法に基づく審査請求をしたところ、国土交通大臣が本件撤回処分を取り消す裁決(本件裁決)をした。本件は、埋立海域周辺に居住する住民である控訴人らが、本件裁決の取消しを求めた事案である。原審(那覇地方裁判所)は控訴人らの原告適格を否定して訴えを却下したため、控訴人らが控訴した。 【争点】 控訴人ら(埋立事業地周辺の住民)が、本件裁決の取消訴訟における原告適格(行訴法9条1項の「法律上の利益を有する者」)を有するか。被控訴人(国)は、公有水面埋立法4条1項1号・2号は周辺住民の個別的利益を保護する趣旨を含まないと主張し、また原告適格の判断基準として75WECPNLを用いるべきと主張した。 【判旨】 控訴審は、原審と異なり、控訴人ら全員の原告適格を認めた。まず、公有水面埋立法の承認要件に関する規定について、環境影響評価法、環境基本法等の関係法令の趣旨及び目的を参酌し、同法は公有水面埋立事業に伴う騒音・振動等によって事業地周辺住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し、良好な生活環境を保全することをその趣旨及び目的とすると解した。そして、この具体的利益は一般的公益に吸収解消させることが困難であるとして、著しい被害を直接的に受けるおそれのある周辺住民には個別的利益としての法的保護が及ぶと判断した。具体的な判断基準として、控訴人A・B・Dについては、環境影響評価書で採用された70WECPNLのコンター線からおおむね200m以内に居住していることを理由に原告適格を肯定した。被控訴人が主張する75WECPNL基準については、本件補正評価書で70WECPNLが採用されている事実関係の下では採用できないとした。控訴人Cについては、航空法を関係法令として参酌した上で、統一施設基準における周辺高さ制限におおむね抵触する高さの建物に居住していることを理由に原告適格を肯定した。以上により原判決を取り消し、本件を那覇地方裁判所に差し戻した。