AI概要
【事案の概要】 ラーメン店「AFURI」を運営する原告(AFURI株式会社)が、日本酒の醸造会社である被告(吉川醸造株式会社)の登録商標「雨降」(第33類・清酒等)について、商標登録無効審判を請求したところ、特許庁が「請求は成り立たない」との審決をしたため、その取消しを求めた事案である。原告は、自社の登録商標「AFURI」(第33類等)を引用商標として、本件商標が商標法4条1項11号(類似商標)、10号(周知商標)、15号(混同のおそれ)、19号(不正目的)及び7号(公序良俗違反)に該当すると主張した。原告の「AFURI」も被告の「雨降」も、いずれも神奈川県丹沢山系の大山(別称「阿夫利山」「雨降山」)に由来する名称であった。 【争点】 1. 本件商標「雨降」と引用商標「AFURI」が類似するか(商標法4条1項11号該当性) 2. 原告の使用商標「AFURI」が周知著名であるか(同項10号・15号該当性) 3. 被告に不正の目的があったか(同項19号・7号該当性) 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。 第1の争点について、「雨降」から「アフリ」の称呼が生じる余地は否定できないものの、本件商標は漢字・筆文字風で引用商標は欧文字であり外観が明らかに異なること、本件商標からは「雨の降ること」等の観念が生じるのに対し引用商標からは特定の観念が生じないことから、外観及び観念の相違が称呼の共通性による印象を凌駕し、両商標は類似しないと判断した。原告が主張した被告商品の取引実情(被告の日本酒が「アフリ」と呼ばれている事実等)については、特殊的・限定的な取引の実情にすぎず、指定商品全般についての一般的・恒常的な取引の実情には当たらないとして排斥した。 第2の争点について、原告の国内店舗は首都圏中心に16店舗にとどまり、ラーメン業界全体に占めるシェアはわずか0.08%であること等から、使用商標が周知著名であるとは認められないとした。また、指定商品「日本酒等の酒類」と「ラーメンの提供」の需要者が相当部分共通するとも認め難いとして、混同のおそれも否定した。 第3の争点について、原告の主張は本件商標と引用商標が類似することを前提とするものであるところ、両商標は類似しないことから前提を欠き採用できないとした。