AI概要
【事案の概要】 向日市の住民である原告らが、同市森本東部地区土地区画整理事業における仮換地(8街区)について、令和3年度及び令和4年度の固定資産税の賦課にあたり、被告(向日市長)が地方税法343条7項及び向日市税条例54条6項に基づく「みなす課税」(仮換地の従前地所有者を仮換地の所有者とみなして課税する制度)を違法に怠っていると主張し、地方自治法242条の2第1項3号に基づき、当該怠る事実が違法であることの確認を求めた住民訴訟である。本件仮換地では令和2年5月11日に使用収益開始可能日が到来し、日本電産株式会社(現ニデック株式会社)が第二本社ビルの建設工事を開始していたが、被告は従前地を田又は畑と評価して課税し、みなす課税を行わなかった。被告は令和5年度になって初めてみなす課税を実施した。 【争点】 ①令和3年度及び令和4年度の各賦課期日において、本件仮換地について地方税法343条7項の「使用し、又は収益することができることとなった」という要件(みなす課税の要件)の充足が認められるか。②みなす課税を行わないことが被告の裁量権の逸脱濫用として違法といえるか。被告は、使用収益開始の通知がなされていても、仮換地が通常の使用に耐えうる状態(支障物件の撤去、ライフラインの整備、側溝・舗装の完成の3要件)になっていなければ要件を充足しないと主張し、また物的二重課税の弊害を理由にみなす課税を行わなかったことは裁量の範囲内であると主張した。 【判旨】 原告の請求を認容。第一に、地方税法343条7項の「使用し、又は収益することができることとなった日」は、土地区画整理法上の使用収益開始可能日と同一の日と解すべきであり、本件では令和2年5月11日に使用収益開始の通知がなされているから、令和3年度及び令和4年度の各賦課期日において要件を充足していたと判断した。被告の主張する「通常の使用に耐えうる状態」による判断基準は、法令の文言上も文献・判例上も根拠がないとした。第二に、裁量権の逸脱濫用について、本件仮換地は社屋用地として使用されることが確実に見込まれる状態にあったこと、被告は令和5年度に条例改正により物的二重課税を回避する措置を講じており令和3・4年度でも同様の措置が可能であったこと、みなす課税を行わないことで本件会社が年間約860万円の課税を免れていたことを考慮し、みなす課税を行わない合理的理由を見出しがたいとして、被告の怠る事実は裁量権の逸脱として違法であると判断した。