AI概要
【事案の概要】 原告会社は、金融ブローカーである被告bの紹介で、指定暴力団の幹部である被告cから10億円の融資を受けることを企図した。被告cは、被告bの借入金債務2億5000万円の返済が済めば即融資する旨を述べたため、原告会社は被告b名義で被告dの口座に2億5000万円を送金した。ところが送金後、被告cは訴外iの保証(暴力団における「口利き」)という融資条件を初めて具体的に持ち出し、融資を拒絶した。原告会社及びその代表取締役である原告aは、被告ら(被告b、被告c、被告d、並びに指定暴力団の組長である被告e及び副組長である被告f)に対し、欺罔行為・脅迫行為による共同不法行為、違法金利の貸金契約に基づく弁済受領の不法行為、契約準備段階の信義則違反等を理由として、約2億7411万円の損害賠償等を求めた。 【争点】 (1) 被告c、被告d及び被告bが原告らに対して欺罔行為及び脅迫行為をしたか (2) 被告bの被告cに対する債務が違法金利(月利10%)により公序良俗に反し、その弁済の請求・受領が不法行為となるか (3) 被告cらが原告会社に対する契約準備段階の信義則上の義務に違反したか (4) 被告cらの行為が暴対法31条の2の威力利用資金獲得行為に該当し、暴力団の代表者が賠償責任を負うか 【判旨】 裁判所は、争点(1)について、被告cの欺罔行為及び脅迫行為はいずれも認定できないとした。被告cが「信用を補完しろ」と発言し担保を要求していた可能性があり、当初から融資意思がなかったとまではいえないと判断した。被告dの行為も欺罔・脅迫に当たらないとした。他方、被告bについては、被告cがiの保証等の担保なしには融資に応じないことを認識しながら、融資が確実であるかのような説明を繰り返し、原告会社に本件送金をさせたとして、欺罔行為による不法行為を認めた。 争点(2)については、本件金銭消費貸借の現実の金利が年120%であったと認めるに足りる証拠がないとして、公序良俗違反の主張を退けた。 争点(3)について、裁判所は、被告cは原告会社が本件送金後に即時融資が得られるとの強い期待を抱いていることを認識しながら、iの保証という重要な融資条件を明示せず、送金後に初めてこれを具体化させて融資を拒絶したものであり、契約準備段階における信義則上の義務に違反すると判断した。 争点(4)について、被告cのヤミ金融業としての債権回収行為は威力利用資金獲得行為に該当するとして、暴対法31条の2に基づき、暴力団の組長である被告e及び副組長である被告fにも連帯賠償責任を認めた。 以上により、原告会社の請求について、被告b、被告c、被告e及び被告fに対し、連帯して約2億7411万円の支払を命じた。被告dに対する請求及び原告a個人の請求はいずれも棄却した。