公職選挙法違反被告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和5う119
- 事件名
- 公職選挙法違反被告事件
- 裁判所
- 広島高等裁判所
- 裁判年月日
- 2024年5月23日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 森浩史、家入美香
- 原審裁判所
- 広島地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 令和元年7月21日施行の参議院議員通常選挙(広島県選出)に際し、立候補予定者Aの選挙運動者であった被告人が、Aを当選させる目的で、投票及び投票取りまとめ等の選挙運動の報酬として供与されるものと知りながら、Aの配偶者Bから2回にわたり現金の供与を受けたとして、公職選挙法違反(被買収)に問われた事案の控訴審である。具体的には、平成31年4月8日に被告人事務所前駐車場でBから現金30万円の供与を受け、令和元年6月1日に駐車場の自動車内で同人から現金20万円の供与を受けたとされる。原審(広島地裁)は被告人を有罪としたが、被告人側は事実誤認及び公訴権濫用による違法な公訴受理を主張して控訴した。なお、被告人は当初不起訴処分(起訴猶予)とされたが、検察審査会の起訴相当議決を受けて起訴された経緯がある。 【争点】 (1) 本件各現金の供与に選挙運動の報酬の趣旨が認められるか、及び被告人にその認識があったか(事実誤認の有無)。弁護側は、現金交付の趣旨は陣中見舞い・当選祝い・党勢拡大活動費等であり、買収の趣旨はなく、被告人もそのような認識を有していなかったと主張した。 (2) 本件起訴が公訴権を濫用した無効な公訴提起に当たるか(不法な公訴受理の違法の有無)。弁護側は、検察官による司法取引の違法性を主張し、その影響を受けた検察審査会の議決に基づく起訴は違法であると主張した。 【判旨(量刑)】 控訴棄却。争点(1)について、広島県連がAの支援を行わない方針を決定しAが組織的バックアップを期待できなかった状況、Bが「A参議院議員選挙'19」フォルダ内に現金交付状況と合致するリストを保存していた事実、従前のBからの交付金額との違い、交付時期が選挙に近接していたこと、被告人が領収証の交付や収支報告書への計上をしていなかったこと等の客観的事情を総合すれば、各現金交付の趣旨に選挙運動の報酬が含まれていたことは明らかであり、被告人もそれを認識していたとの原判決の認定に論理則・経験則等に照らし不合理な点はないとした。党勢拡大活動であるとの弁護側主張についても、本件の状況に照らせばそのような活動と本件選挙が無関係とはいえないと退けた。争点(2)について、検察審査会の審査は被告人の供述証拠のみならず客観的証拠も踏まえた総合判断であり、検察官が不起訴処分を経て検察審査会の議決による起訴という経緯を綿密に想定していたとは考え難く、本件公訴提起に棄却すべきほどの違法性はないとして、原判決の判断に誤りはないと判示した。