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【事案の概要】 令和2年2月5日、神奈川県逗子市所在のマンション敷地の斜面が崩落し、直下の道路を通行中であった18歳の被害者が土砂に巻き込まれて死亡した事故について、被害者の親族である原告ら(養父、母、妹)が、神奈川県(被告)に対し、(1)急傾斜地崩壊危険区域に指定して崩壊防止工事を施行すべき義務に違反した、(2)基礎調査における危険探知義務・危険情報提供義務に違反した、(3)事故前日に斜面の異常を知らせる報告を受けたにもかかわらず現場確認を怠り、危険情報収集義務・防災情報提供義務に違反したと主張して、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めた事案である。 【争点】 1. 急傾斜地崩壊危険区域に指定して崩壊防止工事を施行する義務の有無及びその違反の有無 2. 基礎調査における危険探知義務及び危険情報提供義務の違反の有無 3. 事故前日の連絡に対する危険情報収集義務及び防災情報提供義務の違反の有無 【判旨】 請求棄却。争点1について、裁判所は、本件事故は風化を主因とするものであるところ、風化を要因とする崖崩れは国内の崖崩れの5%にも満たず、その誘因は容易に認識できるものではないとした。マンション管理会社や住民から被告に斜面の異常を知らせる連絡はなく、2回の基礎調査でも異常は発見されなかったことから、被告が崩落の具体的危険の切迫を予見できたとは認められないと判断した。また、斜面の半分以上が石積擁壁の人工斜面であり、急傾斜地崩壊防止工事の対象と直ちにはいえないこと、土地所有者であるマンション住民が工事を要望していなかったことも指摘し、区域指定権限の不行使が著しく合理性を欠くとはいえないとした。争点2について、国総研の調査は崩落後の露出した斜面を確認したものであり、崩落前の植生に覆われた斜面とは目視で確認できる範囲が大きく異なるとして、基礎調査が法の求める水準を満たさなかったとは認められないとした。争点3について、事故前日のマンション管理会社従業員からの連絡は再調査の日程確認が目的であり、亀裂の存在は伝えられておらず、連絡内容から斜面の異常を認識することは不可能であったとして、義務違反を否定した。