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【事案の概要】 被告人は、群馬県渋川市内のグループホームの介護施設職員であったところ、令和4年9月18日午後8時50分頃、同施設内において、入居者の被害者(当時59歳)に対し、その上半身を両手で突き飛ばして後方に転倒させ、頭部を床に強打させる暴行を加えた。被害者は右急性硬膜下血腫等の傷害を負い、同年10月1日に脳ヘルニアにより死亡した。被告人は、被害者がインターフォンにいたずらをしていると思い込み、戸棚の修理作業が思うように進まなかったことも相まって腹を立て、短絡的に犯行に及んだものである。被告人は暴行の事実自体は認めたが、動機について、入居者が備品を壊した場合に従業員が弁償しなければならないと聞いたため被害者を引き離そうとした、あるいは配線が見えて被害者の身に危険を感じたなどと供述した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、暴行の態様について、防犯カメラ映像等から押した力は相当程度強く、被告人も被害者が薬の影響等で足元が不安定であることを認識していたことから、転倒して頭を打つ危険性の高い行為であったと認定した。また、被告人が暴行後に被害者の異変を十分認識しながら翌朝まで救急車を呼ばなかったことが死亡の一因となったとし、暴行後の対応も悪いと評価した。被告人が翌朝初めて異変に気付いたとの供述については、被害者が転倒直後に気絶し、意識回復後も失禁やうめき声をあげていたこと、被告人自身が仮眠前に暴行状況を再現する動作をしていたことから、信用できないとした。動機に関する供述についても、従業員が弁償した実績がないこと、防犯カメラ映像上被告人が被害者を見た時点でインターフォンは元に戻っていたことから、いずれも排斥した。さらに、被告人がサービス提供記録に被害者が椅子ごと倒れたとの虚偽を記載して犯行を隠蔽しようとした点も不利に考慮した。他方、被告人が遺族に500万円の損害賠償の一部を支払ったこと、前科前歴がないこと等を考慮しつつも、実刑は免れないとして、求刑懲役6年に対し、懲役4年を言い渡した(未決勾留日数60日算入)。