AI概要
【事案の概要】 刑務所に収容されている受刑者である原告が、被告(国)に対し、①刑務所職員が原告を全裸にして身体検査・写真撮影をしたこと、②刑務所長が原告の物品所持を制限し、カメラ付き居室に約7か月間収容したこと、③優遇区分変更後も制限区分第4種(昼夜居室処遇)を相当期間変更しなかったこと、④原告代理人弁護士が送付した信書の内容を検査したことが、いずれも刑事収容施設法等に違反する違法な措置であると主張し、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料等合計177万1000円の損害賠償を求めた事案。 【争点】 ①身体検査の違法性(争点1)、②物品制限及びカメラ室処遇の違法性(争点2)、③優遇区分変更後の制限区分不変更の違法性(争点3)、④弁護士信書の内容検査の違法性(争点4)。 【判旨】 争点1について、裁判所は、原告が受刑者Aから暴行を受けたと供述する部位は腹部と右足であり、供述内容も一貫していたことから、全裸にして股間付近や臀部まで検査範囲を広げる必要性は認められず、扉が開放された状態で実施された点も含め、目的に照らし必要かつ合理的な範囲を超えた違法な身体検査であると判断した(慰謝料10万円、弁護士費用1万円)。 争点2について、裁判所は、原告の不食開始を受けてカメラ室処遇及び物品制限を開始したこと自体は裁量の範囲内であるとしつつ、令和2年12月18日以降は連続した不食がほぼ解消し、自殺自傷の現実的・具体的おそれを認めるに足りる事情もなかったにもかかわらず、遅くとも令和3年2月中旬頃までに措置継続の必要性を再検討せず、同年5月14日まで漫然と継続したことは裁量権の逸脱・濫用に当たると判断した(物品制限につき慰謝料3万円・弁護士費用3000円、カメラ室処遇につき慰謝料30万円・弁護士費用3万円)。 争点3について、制限区分と優遇区分は目的・評価項目が異なり、優遇区分の変更から当然に制限区分を変更すべきものとはいえず、裁量権の逸脱・濫用は認められないとして請求を棄却した。 争点4について、弁護士信書が刑事収容施設法127条2項3号該当信書か否かの確認には記述内容の検査も必要な限度で許容されるとし、検査が同号該当確認のために必要な限度を超えたとは認められないとして請求を棄却した。 以上により、合計47万3000円及び遅延損害金の限度で請求を一部認容した。