AI概要
【事案の概要】 被告人は、令和5年10月18日午前11時10分頃、普通乗用自動車を運転し、釧路市内の道路を進行中、前方左右を注視し進路の安全を確認しながら進行すべき自動車運転上の注意義務を怠り、前方左右を注視せず進路の安全を十分確認しないまま漫然時速約42キロメートルで進行した。その結果、道路上を右方から左方に向かい横断歩行していたA(当時87歳)及びB(当時90歳)を前方約16.3メートルの地点に認めて急制動の措置を講じたが間に合わず、自車前部を衝突させて両名を路上に転倒させた。Aは同日午後に出血性ショックにより、Bは同日夜に外傷性くも膜下出血等により、いずれも搬送先の病院で死亡した。被告人は過失運転致死罪で起訴された。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を禁錮1年4月の実刑に処した(求刑:禁錮1年10月)。 量刑理由として、裁判所は以下の点を指摘した。まず、被告人の過失について、前方左右の注視及び進路の安全確認という自動車運転者としての基本的な注意義務に違反したものであるとした。被害者らが横断歩道ではない場所を横断していたという事情はあるものの、本件現場道路の見通しは良好であり、被告人が被害者らの姿を認識する時間は十分にあったと認められることから、被告人が気を緩めずに安全確認をしていれば本件事故は容易に回避できたとして、過失の程度は小さくないと評価した。結果については、2名の尊い命が失われたものであり極めて重大であるとした。 そのうえで、無謀な運転や飲酒運転等の悪質な交通違反を伴うものではないことを勘案しても、被告人の刑事責任は重いとした。被告人が犯行を認めて反省の態度を示していること、今後自動車を運転しない旨述べていること、保険により各被害者遺族に相応の金銭賠償がなされる見込みであること、前科がないことなどの有利な事情を考慮しても、刑の執行を猶予することは相当でないとして、実刑を言い渡した。