盗品等有償譲受け、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、自らが代表取締役を務めるギフトカード等の転売会社(C社)において、令和4年7月、3回にわたり、Aらが窃取したギフトカード合計130枚(時価合計65万円相当)を、「B」と称する氏名不詳者から額面の約90%の代金で買い受けたとして、盗品等有償譲受け及び組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等の収受)で起訴された事案である。被告人がギフトカードを買い受けた事実自体に争いはなく、それらが盗品及び犯罪収益等であることについての被告人の知情性(認識)の有無が争点となった。 【争点】 本件各ギフトカードが盗品及び犯罪収益等であることについて、被告人に少なくとも未必的な知情性が認められるか。検察官は、(1)被告人が警察官等から繰り返しC社の取扱商品に犯罪被害品等が含まれている旨の指摘を受けていたこと、(2)C社が「B」から相場より低い額面の約90%でギフトカードを仕入れていたこと、(3)被告人がギフトカード売却時に買取カードに偽名等を記載していたこと、(4)携帯電話で盗品保管等に関する検索をしていたこと、(5)捜索時にメッセージアプリを削除したことを根拠に知情性を主張した。 【判旨(量刑)】 神戸地方裁判所は、検察官の主張する各事実関係を個別に検討した上で、いずれも被告人の知情性を直接推認させるものではないと判断し、無罪を言い渡した(求刑:懲役3年及び罰金50万円)。(1)警察官等からの指摘については、模倣品や偽物に関する指摘が多く、「B」やギフトカードとの類似性がないこと、被告人が指摘を受けた取引先をリスト化して取引を中止する対策を講じていたことから、「B」からのギフトカードについて具体的な犯罪関連性の認識を生じさせるものではないとした。(2)買取価格については、額面の約90%で買い取る金券業者が実在すること、C社の仕入先が主に日本在住の中国人で人民元で代金を支払うという特殊な取引形態があり、中国人間では日本の相場より低い価格で取引される合理的な理由があることから、通常あり得ない取引とはいえないとした。(3)偽名使用については、被告人が常連客として対面取引していた店舗で日常使用していた名前や電話番号を把握されていたことから発覚回避の強い意図があったとはいえず、コロナ禍で中国人のイメージ悪化や強盗被害防止という被告人の弁解も排斥できないとした。総合考慮しても、各事実関係は知情性がないとしても合理的に説明可能であり、合理的な疑いが残ると結論づけた。