AI概要
【事案の概要】 本件は、被告が特許権者である「皮膚刺激ブラシ」に関する特許(特許第6966812号、請求項1〜10)について、原告が特許無効審判を請求したところ、特許庁が「審判の請求は成り立たない」との審決をしたため、原告がその取消しを求めた審決取消訴訟である。本件特許は、柄とブラシ台を構成するハウジング、電気回路、複数の皮膚刺激ブラシ用ピンを備え、ピンが基底部材・胴部材・電極部材・金属軸から構成される皮膚刺激ブラシに関するものである。原告は、中国実用新案公報(甲1)記載の発明との対比において、(1)新規性欠如、(2)進歩性欠如、(3)明確性要件違反の3つの取消事由を主張した。 【争点】 主な争点は、(1)甲1発明に基づく新規性判断の誤りの有無(甲1発明のリード線7が電流ガイドロッド3及び磁石6を貫通しているか、スライドスリーブ4等が径方向に屈曲可能な弾性を有するか)、(2)甲1発明に基づく進歩性判断の誤りの有無(周知技術を適用して相違点5に係る構成を採用することが容易か)、(3)本件発明5及び10の明確性要件適合性である。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。取消事由1について、甲1公報の記載から、リード線7は電流ガイドロッド3及び磁石6を貫通していると認定し、原告の図面解釈や中国語原文に基づく反論をいずれも排斥した。その結果、甲1発明には本件発明1の「基底部材」「胴部材」「金属軸」に相当する構成が存在せず、相違点1〜5はいずれも実質的な相違点であるとして、新規性判断に誤りはないとした。取消事由2について、甲1発明ではスライドスリーブが電流ガイドロッドに沿ってスムーズにスライドすることが前提とされており、径方向に屈曲する構成とすると摺動動作を阻害するから、周知技術の適用には阻害要因があるとして、進歩性判断の誤りも否定した。取消事由3について、本件発明5の基底部材と金属軸の関係は一体形成の趣旨として当業者に理解可能であり、本件発明10の「低周波電流」も当該技術分野では特段の説明なく用いられる既知の用語であるとして、明確性要件に適合すると判断した。