AI概要
【事案の概要】 被告人Aは、「C」の屋号で犬・猫等の繁殖販売業を営んでいた者、被告人Bは被告人Aの娘で同事業の経理業務を担当していた者である。被告人らは共謀の上、架空の経費を計上するなどの方法により所得を秘匿し、令和2年分及び令和3年分の所得税等合計約6183万円を免れた(ほ脱率約99.9%)。具体的には、令和2年分については実際の総所得金額が約5984万円であったにもかかわらず総所得金額0円と虚偽の確定申告書を提出し所得税額約2175万円を免れ、令和3年分については実際の総所得金額が約1億60万円であったにもかかわらず同様に虚偽申告を行い所得税額約4008万円を免れたものである。 【判旨(量刑)】 裁判所は、ほ脱税額が合計6180万円余りと少なくなく、ほ脱率が約99.9%と極めて高い点を指摘した。他方で、犯行態様については、被告人Aが被告人Bに具体的な方法を指定することなく税金を支払わないよう指示し、被告人Bが架空の出金伝票を作成して経費を架空計上するという単純な手口であり、悪質性が高いとまではいえないとした。被告人Aが、行政が行わない林道整備等を自費で行っていたことを動機として述べた点については、その問題は他の適切な方法で解決すべきであり、ほ脱した金銭を自己の事業資金にするという動機もあったとして、量刑上考慮できないとした。被告人Aについては、娘である被告人Bに指示して犯行を主導しており刑事責任は重いとし、被告人Bについては、直接的な利益は得ていないものの、経理を任され被告人Aが確定申告書の内容等を理解できていないことも認識しており、犯行は被告人Bの関与なくしては成り立たなかったとして、その責任を軽く見ることはできないとした。その上で、被告人らが事実を認めて反省していること、本税に足りる金額を予納し修正申告を行っていること、前科がないことなどの酌むべき事情を考慮し、被告人Aを懲役1年及び罰金1500万円(懲役刑につき執行猶予3年)、被告人Bを懲役10月(執行猶予3年)に処した。