建物明渡等・損害賠償反訴請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和5ネ914
- 事件名
- 建物明渡等・損害賠償反訴請求控訴事件
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2024年6月5日
- 裁判種別・結果
- 破棄自判
- 裁判官
- 中垣内健治、髙橋伸幸、鈴木紀子
- 原審裁判所
- 大阪地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 大阪府(被控訴人)は、大阪府咲洲庁舎(本件建物)の7階から17階までの専有部分をホテル経営目的で控訴人ホテル開発に賃貸し、控訴人Aが連帯保証した。控訴人ホテル開発は、被控訴人の承諾を得て10階から17階(本物件2)を控訴人TCMに転貸し、控訴人TCMはこれを控訴人ホテルに再転貸した。控訴人TCMは、銀行団の要請により信用補完目的のマスターリース事業者として参画したものであった。被控訴人は、賃料不払を理由に令和2年7月31日に賃貸借契約を解除し、控訴人らに対して建物明渡し、滞納賃料等約3億6000万円、約定違約金約1億円、賃料相当損害金(賃料の2倍相当額)等合計約20億円の支払を求めた。控訴人ホテル開発は反訴として、エレベーターの走行音による騒音に関し、改修工事実施義務違反等を理由に7000万円の損害賠償を求めた。原審は被控訴人の本訴請求をほぼ認容し、反訴請求を棄却したため、控訴人らが控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)エレベーター騒音に関する被控訴人の損害賠償債務(改修工事実施義務違反・瑕疵担保責任)の有無、(2)賃料不払による賃貸借契約解除の有効性、(3)本物件2に係る控訴人TCMの間接占有の消滅の有無、(4)控訴人TCM及び同ホテルの共同不法行為責任の有無及び損害額であった。 【判旨】 控訴審は、控訴人TCM及び同ホテルの控訴を一部認容し、その余の控訴を棄却した。第一に、エレベーター騒音に関し、賃貸借契約書にはホテル用途に適した建物を賃貸するとの黙示の合意を裏付ける定めはなく、募集要項では事務所仕様の現状有姿での引渡しが前提とされていたことから、改修工事実施義務違反を否定した。瑕疵担保責任についても、契約締結前に控訴人らの代表者が15回以上本件建物を訪問し、設計事務所も現場確認を行っていたことから、隠れた瑕疵とは認められないとした。第二に、控訴人TCMの間接占有の消滅について、占有代理関係の原因である転貸借契約が終了しても、占有代理関係が外形的に残っている以上、民法204条2項により間接占有は当然には消滅しないと判断した。第三に、共同不法行為の範囲について、控訴人TCM及び同ホテルは本物件2のみの引渡しを受けており、本物件1の使用収益には関与していなかったとして、本物件2の占有部分に限り共同不法行為が成立するとした。その結果、控訴人TCM及び同ホテルの損害賠償責任を本物件2に係る賃料相当損害金(月額約2557万円)等の合計約8億円に減額し、原判決の約20億円から変更した。