詐欺、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律違反、金融商品取引法違反被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、共犯者Aと共同で投資運用事業会社を設立し、被告人が顧客を勧誘して投資金を集め、Aがその資金を日経225オプション取引等で運用するという役割分担で事業を営んでいた。投資期間1か月で20%、3か月で50%の収益を謳い、元本保証を約して顧客から資金を集めていたが、実際には投資運用の実績は赤字であり、顧客への元利金の返済はほとんどできない状態に陥っていた。それにもかかわらず、被告人らはメッセージアプリ等を用いて虚偽の運用実績を報告し、あたかも順調に利益が出ているかのように装って、令和3年9月頃から令和4年4月頃までの間に7名の被害者から合計約9700万円を詐取した。また、法定の除外事由なく不特定多数の者から総額約7600万円を元本保証で受け入れて業として預り金をし(出資法違反)、無登録で金融商品取引業を営んだ(金商法違反)。 【争点】 被告人に詐欺の故意及び共犯者Aとの共謀が認められるか。被告人は、Aから伝えられた投資運用実績が黒字であると信じており、顧客を騙す認識はなかったと主張した。弁護人も、被告人には詐欺の故意がなく無罪であると主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人には詐欺の未必の故意及びAとの共謀が認められると判断した。その根拠として、①令和3年7月上旬に多額の元利金を返済できない事態に陥った際、Aが返済不能の理由として述べたセキュリティロックや口座凍結の説明はいずれも虚偽であり、金融業に長年従事した被告人がこれを虚偽と認識し得たこと、②被告人がAに個人資産の切り崩しによる返済を提案した際にAが激高して拒否したことはAに実際には資産がないことを疑うに十分な事実であったこと、③Aが1億2000万円を芸能人との金銭トラブルで失い返済がさらに困難になったことを被告人が認識していたこと、④Aから送信された証券口座画像には株の信用取引に関する表示があり投資運用内容と矛盾する不審点が複数存在したことを挙げた。量刑については、被害額が約9700万円と多額で被害弁償の見込みもなく、犯行態様は巧妙かつ常習的で悪質であるとした。他方、主犯はAであり被告人の故意は未必的なものにとどまること、犯行利得のほぼ全額をAが取得し被告人は給料のみであったこと、前科前歴がないことを考慮し、求刑懲役4年に対し、懲役3年6月(未決勾留日数440日算入)を言い渡した。