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知財

発信者情報開示請求控訴事件

判決データ

事件番号
令和5ネ10109
事件名
発信者情報開示請求控訴事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2024年7月10日
裁判官
宮坂昌利本吉弘行岩井直幸
原審裁判所
東京地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 映像制作会社である控訴人(第1審原告)は、自社が著作権を有する動画が、P2P方式のファイル共有プロトコルであるBitTorrent(ビットトレント)のネットワーク上で無断共有されていることを発見した。控訴人は、調査会社に依頼してビットトレントネットワーク上の通信を監視し、動画ファイルを共有していた発信者のIPアドレス等を特定した。そこで控訴人は、当該発信者らが利用していたインターネット接続サービスを提供する被控訴人(第1審被告・アクセスプロバイダ)に対し、プロバイダ責任制限法5条1項に基づき、発信者の氏名等の情報の開示を求めた。原審(東京地裁)は、調査会社が検知した通信(Host Communication Phase)は著作物を「送信可能化」する行為そのものには該当せず、本件発信者情報は「権利の侵害に係る発信者情報」に当たらないとして、請求を全部棄却した。控訴人がこれを不服として控訴した。 【争点】 主要な争点は、(1)送信可能化権侵害の明白性、(2)調査会社が検知した通信(ピア同士のHANDSHAKE等の通信)に係る発信者情報が「権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか、(3)開示を受けるべき正当な理由があるかの3点である。特に争点(2)が中核的争点であり、ビットトレントの技術的特性上、送信可能化を惹起する最初の行為そのものの通信を第三者が検知・特定することは技術的に不可能であるところ、その後の通信に係る発信者情報についても開示が認められるかが問われた。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原判決を取り消し、控訴人の請求を全部認容した。まず争点(1)について、発信者らがビットトレントネットワーク上で本件複製ファイルの全体を保有していた事実が認められ、送信可能化権の侵害が明白であると判断した。争点(2)について、裁判所は、送信可能化権の侵害とは自動公衆送信の準備が整った状態をもって権利侵害とするものであり、その状態が継続している限り違法状態も継続すると解すべきであるとした。そして、「権利の侵害に係る発信者情報」を送信可能化惹起行為そのものの通信に限定して解釈する必要はなく、送信可能化が完了し引き続き送信可能な状態が継続していることを直接的に示す通信であれば、当該通信に係る発信者情報も「権利の侵害に係る発信者情報」に該当すると判示した。本件各通信は、発信者らが本件複製ファイルにつき自動公衆送信が可能な状態にあることを明らかにする通信であるから、これに該当するとした。もっとも、令和3年改正によるログイン時情報の開示制度の趣旨にも配慮し、権利侵害性のない通信を安易に開示対象とすべきではないとの留保も付している。本判決は、ビットトレントを用いた著作権侵害における発信者情報開示の実務上の障壁を大きく緩和する意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。