強盗殺人
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、被告人が、平成28年1月14日午後5時20分頃から同日午後5時51分頃までの間に、被害者方において、被害者を殺害して現金を強取したとされる強盗殺人事件の控訴審である。被告人は、事件当時、被害者から18万円を借りており、総額約92万円の借金や市道民税の滞納を抱えて経済的に困窮していた。被告人は犯人性を否認し、原審で有罪とされたことに対し、訴訟手続の法令違反及び事実誤認を理由に控訴した。 【争点】 第一の争点は、公訴事実で「現金約20万9000円」とされた被害金額を、訴因変更手続を経ずに「現金(額不詳)」と認定したことが不意打ちに当たるかである。第二の争点は、被告人が本件の犯人であるか否かである。犯人性については、(1)犯行時間帯に被告人車両と同型の車両が被害者方方向へ向かったこと、(2)被告人が被害者と当日訪問する約束をしていたこと、(3)犯行直後に被告人が20万8000円をATMに入金したこと、(4)犯行後に「イビキをかいたら」「足紋」といった犯行に関連する語句をインターネット検索していたこと等の間接事実の評価が争われた。弁護側は、犯行の時間的可能性、入金原資の説明、被害者の認知症による約束の勘違いの可能性、返り血の痕跡がないこと等を主張した。 【判旨(量刑)】 札幌高裁は、控訴を棄却した。被害金額の縮小認定については、公訴事実の範囲内における縮小認定であり不意打ちには当たらないとして、訴訟手続の法令違反の主張を退けた。犯人性については、原判決の間接事実に基づく認定はおおむね不合理ではないと判断した。特に、被告人が犯行時間帯に被害者方方向へ車で向かい約30分後に戻ったこと、経済的に困窮していた被告人が犯行直後に20万8000円を入金し約8分後に別のATMで一部を出金するという不審な行動をとったこと、犯行関連の検索を複数回行ったことを総合し、被告人が犯人でないとすれば合理的に説明できない事実関係であると認定した。なお、控訴審は原判決が自宅保管金を数万円と認めた点について根拠がないとしつつも、所持金はほとんどなかったと認定することは不利益変更に当たるため行わないとした。当審における未決勾留日数中60日が原判決の刑に算入された。