AI概要
【事案の概要】 被告人Aは、シンガポールに法人登記を置く投資運用会社とのFX取引(外国為替証拠金取引)に関する投資一任契約の締結を内容とする金融商品を含む会員制福利厚生サービスを提供する会社の最高経営責任者であった。被告人Bは同社の営業統括責任者、被告人C及び被告人Dは同社のスーパーバイザーとして、それぞれ代理店の営業活動を統括管理していた。 被告人らは、いずれも内閣総理大臣の登録を受けないまま、平成25年頃から構築された代理店制度の下、一般の投資知識を持たない者を対象に、傘下の営業員を通じて本件FX取引の投資一任契約が優れた金融商品であると勧誘させ、令和元年12月から令和3年6月にかけて、千葉県、大分県、広島県、大阪府等において、複数の投資者に対し投資一任契約の申込みの勧誘及び締結の媒介を行い、無登録で金融商品取引業を営んだ。本件は極めて大規模に行われた無登録営業の一環であり、多額の金銭を預けた投資者が出金不能となる被害が多数発生した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、本件が登録制の目的である投資家保護に真正面から反する極めて危険で悪質な犯行であると指摘した。被告人らは、投資一任契約の受任者である証券会社や運用会社の実態について十分な調査を行わないまま、事実に反する勧誘文言を用いて営業活動を行わせており、まさに規制を受けずに金融商品取引業を行うことで投資家を危険にさらしていた。被告人らが弁護士に相談していた旨の弁解についても、実際の行為は弁護士が許容した範囲を超えるものであり、投機性の高い金融商品を実態把握なく勧誘していたことの社会的危険性を認識していなかったという主張は無責任極まりないとして排斥した。 被告人Aについては、事業を設立し本件手法を構築した最高責任者として本件犯行に不可欠な存在であり、会費から多額の報酬を得ていたことから、責任は非常に重大であるとした。被告人B、C及びDについても、それぞれ100名超の営業員を統括し月額約2000万円の報酬を得ていたことから、責任は相当に重いとした。 もっとも、前科がないこと、各投資者との間で民事裁判上の和解が成立していること、家族が監督を誓約していること等を考慮し、被告人Aを懲役3年・罰金500万円(懲役につき5年間執行猶予)、被告人B、C及びDをそれぞれ懲役1年6月・罰金500万円(懲役につき3年間執行猶予)に処した。罰金は本件犯行が経済的に割に合わないことを示すため、いずれも求刑どおり科された。