行政処分取消等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(米国法人)は、日本で取得した特許権(特許第5281402号)について、第6年分の特許料を納付期限内に納付せず、追納期間内にも特許料及び割増特許料を納付しなかった(本件期間徒過)。控訴人は、本件期間徒過には特許法112条の2第1項所定の「正当な理由」があると主張して、特許料納付書(第6年分〜第10年分)を順次提出したが、特許庁長官はこれを認めず、各手続の却下処分及び審査請求を棄却する裁決をした。控訴人の特許権管理は、米国の年金管理会社を通じて日本国内の代理人(弁理士)が特許料を納付する体制をとっていたが、年金管理会社が作成した紙リストにおいて、印刷の関係で本件特許権の記載が2ページにわたって分断されていたこと等から、担当弁理士らが本件特許権の存在を認識できず、特許料の納付漏れが生じたものである。控訴人は、原審(東京地裁)で各却下処分及び裁決の取消しを求めたが請求を棄却され、知的財産高等裁判所に控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)本件期間徒過について特許法112条の2第1項の「正当な理由」があるか、(2)本件裁決に審理不尽や理由不備の違法があるか、である。控訴人は、国際調和の観点から、通常は有効に機能している期間管理システムにおける孤立したミス(isolated mistake)であれば「正当な理由」が認められるべきであると主張した。また、米国年金管理会社と担当弁理士らとの間の電子メールのやり取りは限定的な調査目的であり、担当弁理士らに更なる調査義務はなかったと主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原判決を維持し、控訴を棄却した。まず、「正当な理由」の判断基準について、平成23年改正は国際的調和の観点から救済要件を緩和したものの、第三者の監視負担等も考慮して定められたものであり、「正当な理由」があるといえるためには、原特許権者(代理人を含む)として相当な注意を尽くしていたにもかかわらず、客観的にみて追納期間内に特許料等を納付することができなかったことを要すると判示した。紙リストの記載が分断されていた点については、5頁目冒頭には各頁共通の項目が記載されており4頁目と5頁目を分断して理解する理由にはならないとし、担当弁理士らは特許料が未納である特許権の存在を認識しながらこれを放置したと認定した。米国年金管理会社との電子メールについても、本件特許料納付リストそのものが不正確であったことを示すものであり、調査対象が限定されるとの控訴人の主張を排斥した。裁決の違法性についても、審理不尽の主張は裁決固有の瑕疵に関するものではなく、理由不備の主張についても、裁決において申立人の法的主張に逐一対応する必要はないとして、いずれも退けた。