不正競争行為差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 デジタルアート作品の展示等を行う原告(チームラボ株式会社)が、予防医学支援・労働者派遣事業等を営む被告(株式会社チーム・ラボ、令和元年5月設立)に対し、被告の商号及び表示が原告の著名な商品等表示と同一又は類似であるとして、不正競争防止法2条1項2号に基づく商号使用の差止め・抹消登記手続及び損害賠償(110万円)、並びに会社法8条2項に基づく商号使用の差止め・抹消登記手続を求めた事案である。原告は、平成13年以降「チームラボ」の名称で事業を展開し、お台場の「チームラボボーダレス」や豊洲の「チームラボプラネッツ」等で年間数百万人の来館者を集め、多数のテレビ番組でも紹介されるなど広く知られた存在であった。 【争点】 主な争点は、(1)原告表示等が不競法2条1項2号にいう「著名な商品等表示」に該当するか、(2)被告が原告表示等の著名化前から不正の目的なく被告表示等を使用していたか(不競法19条1項5号の適用除外)、(3)会社法8条における不正の目的の有無であった。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。まず著名性の判断基準について、不競法2条1項2号の「著名」とは、日本国内の広い地理的範囲にわたり、需要者又は取引者において当該表示が出所を示すものとして広く認識されていることが必要であるとした。その上で、平成29年以前は来場者数が多い展示の大半が東京近郊に偏り、美術分野に関心のない層への浸透は限定的であったこと、平成30年のボーダレス・プラネッツ開館後に知名度が加速したもののテレビ番組の視聴者における認識定着の程度は来場者と比べ相対的に小さいこと等を踏まえ、原告表示等が著名となった時期は早くとも令和3年7月頃と認定した。次に、被告は令和2年4月以前から被告表示等の使用を開始しており著名化前の使用と認めた上で、被告代表者らが使用開始時に原告表示等を認識していなかったとの証言は信用でき、「チーム」「ラボ」はいずれもよく知られた英単語であり予防医学等を目的とする被告の商号として自然であること、被告の事業は原告と全く異なること等から、不正の目的はなかったと判断した。したがって不競法19条1項5号の適用除外に該当し、会社法8条の不正目的も認められないとして、原告の請求を全て棄却した。