AI概要
【事案の概要】 社会福祉法人である原告は、名古屋市内及び愛知県内の13の事業所において、障害者総合支援法に基づく生活介護、就労移行支援及び就労継続支援B型の各障害福祉サービスを提供していた。原告は、これらのサービスを利用して生産活動に従事する障害者(利用者)に対し、生産活動に係る事業収入から経費を控除した額を工賃として支払っていたが、当初の確定申告では当該工賃を消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に含めていなかった。その後、原告は、平成25年度から平成28年度までの4課税期間について、工賃を課税仕入れに計上すべきであったとして更正の請求を行ったところ、熱田税務署長から更正をすべき理由がない旨の各通知処分を受けた。原告は再調査の請求及び審査請求を経たが、いずれも棄却されたため、各通知処分の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 本件工賃が消費税法30条1項に規定する課税仕入れに係る支払対価に該当するか。原告は、利用者の生産活動への従事は「役務の提供」であり、工賃はその対価であるから課税仕入れに該当すると主張した。一方、被告(国)は、工賃は障害福祉サービスの一環として提供される生産活動の機会に伴う剰余金の分配にすぎず、個別具体的な役務提供との対応関係が認められないと主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。まず、消費税の性格及び課税の仕組みから、ある支払が課税仕入れに係る支払対価に該当するためには、当該支払が転嫁可能な程度に個別具体的な役務の提供と結びついている(対応関係がある)ことが必要であると判示した。その上で、障害者総合支援法及び関係法令によれば、生産活動の機会の提供は事業者が利用者に供与すべき障害福祉サービスの一内容であり、利用者は生産活動に従事する法的義務を負わないこと、工賃は生産活動に係る事業収入から経費を控除した残額の分配であり、作業内容や作業量と比例させることが制度上要求されていないことなどから、利用者はあくまで障害福祉サービスを受ける立場にあり、工賃は役務提供の反対給付ではなく剰余金の分配であると認定した。原告が利用者の経験・技能に応じて賃金単価に差を設けている実態があるとしても、それは利用者間の工賃分配方法にすぎず、工賃の法的性質に影響しないとし、また、就労継続支援A型との比較についても、雇用契約の有無は賃金と工賃の法的性質を基礎づける最も重要な相違点であるとして、原告の主張をすべて退けた。