AI概要
【事案の概要】 被告法人(一般社団法人)は、株式会社アースハートから事業譲渡を受け、「マインドパワー」と称する力を習得するためのハンドヒーリングセミナー(約3か月間・全12回、受講料54万円又は75万6000円)を開講していた。被告法人は、会報誌やホームページにおいて、科学的・医学的裏付けのないマインドパワーにより病気が治癒したとする体験談や、医師によるマインドパワーの効果を紹介する記事を掲載するなどの宣伝活動を行っていた。また、被告法人は、会員に対し、第三者を勧誘して「覚醒」させれば自身のマインドパワーが強くなる、病気改善のためには覚醒が必要であるなどと説明し、新規会員の獲得を推奨していた。なお、アースハートについては、既に福岡高裁の確定判決(平成26年)において、同様の活動が社会的相当性を逸脱する違法なものと認定されていた。 原告ら19名は、自身や家族の病気等に悩みを抱えていたところ、被告法人の会員からマインドパワーで悩みを解消できるなどと勧誘を受けてセミナーを受講し、受講料等を支払った。本件は、原告らが、被告法人、被告法人の創始者である被告T及び代表理事である被告Uに対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。 【争点】 (1) 被告法人の活動が社会的相当性を逸脱する違法なものか否か、(2) 被告Tの責任原因の有無、(3) 被告Uの責任原因の有無、(4) 原告らの損害の有無及び額、(5) 消滅時効の成否。 【判旨】 裁判所は、原告らの請求を一部認容した。被告法人の活動について、マインドパワーは科学的・医学的裏付けを欠くにもかかわらず病気治癒等の虚偽の宣伝を行っていたこと、会員の切実な思いに付け込んで覚醒を推奨し新規会員を獲得していたこと、マインドパワーを医学的なものとも宗教的なものとも場当たり的に説明しており真摯な治療目的とはいえないこと、セミナー内容に比して受講料が著しく高額であること等を指摘し、これらの活動は違法と認定されたアースハートの活動と同様であり、有機的に関連した一連のシステムの下に不当に高額な金員を取得することに向けられた社会的相当性を逸脱するものと判断した。被告法人が契約書に科学的根拠がない旨を明記していた点やローラー禁止の指導をしていた点についても、実態として虚偽の宣伝や覚醒の推奨が行われていた以上、違法性の認定を妨げないとした。被告Tについては、被告法人の創始者として虚偽の宣伝や覚醒推奨に主体的に関与し、月額250万〜500万円の利益を得ていたことから中心的役割を認定した。被告Uについては、代表理事として違法な活動を主導したと認定した。消滅時効については、原告らがインターネット記事等を認識していたとしても、被告法人の活動が社会的相当性を欠き違法であると判断するに足りる事実を認識したとはいえないとして、被告らの時効の主張をいずれも排斥した。過失相殺も否定し、被告ら3名の連帯責任を認めた。