AI概要
【事案の概要】 被告(中古自動車販売買取会社)に雇用され、買取店の店長として稼働していたcが、未払時間外労働賃金及び付加金の支払を求めるとともに、上司であるエリアマネージャーのdからグループLINE上で指導の域を逸脱した暴言を受けるなどのパワーハラスメントを受けたとして、使用者責任(民法715条)に基づく慰謝料220万円等の支払を求めた事案である。cは令和元年6月に各務原店の店長となり、基本給月額58万円、令和2年の総支給額約1110万円という待遇を受けていた。cは令和3年6月21日に退職し、令和4年2月に労働審判を申し立てたが、同年5月に訴訟に移行した。なお、cは令和4年9月24日に死亡し、父母である原告らが訴訟手続を承継した。 【争点】 1. 買取店の店長が労働基準法41条2号の管理監督者に該当するか 2. cの時間外労働時間 3. エリアマネージャーによるパワーハラスメントの有無及び損害 【判旨】 裁判所は、買取店の店長は管理監督者に該当すると判断し、未払残業代請求を棄却した。その理由として、店長は①買取りの可否及び買取価格の決定権限、②営業方法を決め従業員に指揮命令する権限、③顧客への代金振込の承認権限、④買取車両の販売方法の決定権限を有し、人事面でも正社員の採否判断が基本的に店長に委ねられていたこと、遅刻・早退による減給等の不利益がなく労働時間の裁量を有していたこと、基本給が他の従業員の3倍以上で総支給額も約2倍と管理監督者にふさわしい待遇であったことを挙げた。出退勤について事実上の制約があることは認めつつも、店長の職責に起因するものであり、管理監督者性を否定するものではないとした。 パワーハラスメントについては、エリアマネージャーがグループLINE上で「タコが」「クソ赤字」「雑魚営業以下」「日本語大丈夫?」「店長下りろタコが」等の暴言を交えながら高圧的に回答を求めた行為は、業務改善を目的とした指導の中で行われたものであっても、指導の態様として相当性を欠き、全体としてパワーハラスメントに当たると認定した。もっとも、cは令和2年5月の時点で既にうつ病と診断されており、パワハラとうつ病発症・悪化との因果関係は認められないとして、慰謝料50万円及び弁護士費用5万円の合計55万円の限度で損害賠償請求を認容した。原告らは各2分の1(各27万5000円)を相続により取得したものと認められた。