AI概要
【事案の概要】 原告は、令和元年に「未乾燥のペースト製茶」に関する発明について特許出願を行ったが、令和4年5月に拒絶査定を受けた。原告は拒絶査定不服審判を請求したものの、令和5年9月に請求不成立の審決(原審決)がなされた。原審決の謄本は同年10月14日に原告に送達され、出訴期間(30日)の満了日は同年11月13日であった。原告は、出訴期間満了前の同年11月9日に原審決に対する再審請求を行った。特許庁は、再審請求時点で原審決が未確定であったことを理由に、再審請求が特許法171条1項に違反する不適法なものであるとして、令和6年1月23日付けで再審請求を却下する審決(本件審決)をした。原告は本件審決の取消しのほか、本願に係る特許の特許査定・設定登録の義務付け、及び審判手続における前置審査の義務付けも併せて求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 主な争点は、再審請求時に原審決が未確定であった瑕疵を理由として再審請求を却下した本件審決の適法性である。具体的には、再審請求時には原審決が確定していなかったものの、本件審決がされた時点では原審決が確定していた場合に、当該瑕疵が治癒されたといえるかが問題となった。また、裁判所が特許査定・設定登録の義務付けや前置審査の義務付けを命じることができるかも争点となった。 【判旨】 知財高裁は、まず本件審決の取消請求について、原審決の確定日は出訴期間満了日である令和5年11月13日の経過時であり、再審請求時(同月9日)には確かに原審決は未確定であったと認定した。しかし、本件審決がされた令和6年1月23日時点では原審決は既に確定していたことから、再審請求時の瑕疵は治癒されたというべきであり、当該瑕疵を理由として再審請求を却下することはできないと判断した。また、再審請求書には民事訴訟法338条1項の再審事由が主張されており、再審事由の主張がないという違法性もないとした。以上から、本件審決の判断は誤りであるとして、本件審決を取り消した。他方、特許査定・設定登録の義務付けを求める訴えについては、特許法181条の規定上、裁判所は審決を取り消すことができるにとどまり、特許査定等の義務付けを命じることはできないとして不適法却下とした。前置審査の義務付けを求める訴えについても、審判手続における具体的な審理方式に関する義務付けを命じる根拠規定がなく、行政事件訴訟法上の義務付け訴訟にも該当しないとして同様に不適法却下とした。