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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
令和5行ケ10104
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2024年8月28日
裁判官
清水響菊池絵理頼晋一

AI概要

【事案の概要】 本件は、米国法人である原告が、「非常に低い抵抗材料で形成された、電気的デバイス、機械的デバイス、コンピュータデバイス、および/または、他のデバイス」と題する発明について特許出願をしたところ、拒絶査定を受けたため不服審判を請求したが、特許庁が請求不成立の審決をしたことから、その取消しを求めた審決取消訴訟である。本願発明は、従来の高温超伝導(HTS)材料が120K未満の極低温を必要とし高価な冷却システムが不可欠であるという課題に対し、「改変されたELR(extremely low resistance)材料」を用いた第1のELR導体と第2のELR導体の間にバリア材料を配置してジョセフソン接合を構成するものである。ジョセフソン接合とは、2つの超伝導体を薄い絶縁膜で隔てるなどして弱く結合し、電子対がトンネル効果によって結合部を通過する現象(ジョセフソン効果)を利用するデバイスであり、量子コンピュータ等の先端技術において重要な構成要素である。本件審決は、本願明細書の発明の詳細な説明の記載が実施可能要件(特許法36条4項1号)を満たさないと判断した。 【争点】 本願明細書の発明の詳細な説明が実施可能要件を満たすか否かが争点である。具体的には、①ELR導体が超伝導状態(抵抗値ゼロ)にあることが明細書に記載されているか、②バリア材料にジョセフソン効果によるトンネル電流が流れることが記載されているか、が問題となった。原告は、明細書記載の試験結果における抵抗の急激な変化が超伝導遷移を示すものであること、サンプルの一部が超伝導状態に遷移していること、及び従来技術を超越した新たなジョセフソン接合技術を提供するものであることを主張した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、超伝導状態とは抵抗値がゼロの状態であるという技術常識、及びジョセフソン接合は2つの超伝導体を弱く結合したものであるという技術常識を前提に、本願明細書の記載を検討した。まず①について、明細書に記載された各実施例の試験結果はいずれも導体の抵抗値がゼロとなったことを示しておらず、ELR導体が超伝導状態にあることは裏付けられていないとした。原告が主張する抵抗の急激な変化についても、それが超伝導遷移を示すとする裏付けとなる試験結果等は記載されておらず、A博士の宣誓書にも具体的根拠は示されていないと判断した。次に②について、超伝導状態にない導体間のバリア材料にジョセフソン効果が発現するというのは技術常識に反する内容であり、これを裏付ける試験結果等も記載されていないとした。以上から、当業者が過度の試行錯誤を要することなく本願発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえず、実施可能要件を満たさないとの審決の判断に誤りはないと結論づけた。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。