AI概要
【事案の概要】 本件は、「誘導加熱コイルユニット、及び誘導加熱システム」に関する特許(特許第6114435号)について、原告(トクデン株式会社)が被告(鈴木工業株式会社)を被請求人として特許無効審判を請求したところ、特許庁が「審判の請求は成り立たない」とする審決をしたため、原告がその取消しを求めた審決取消請求事件である。本件特許に係る発明は、加熱コイルをケースに収容し、ケース内に冷却用気体を供給・排出する冷却経路を設けることで、加熱対象物を冷却することなく加熱コイルを効率良く冷却できる誘導加熱コイルユニット等に関するものである。被告は審判手続中に訂正請求を行い、特許庁はこれを認めた上で審判請求不成立の審決をした。原告は、本件各発明(請求項1から6まで)について、複数の引用発明に基づく進歩性欠如を取消事由として主張した。 【争点】 主な争点は、本件各発明と引用発明との相違点の有無及び相違点についての容易想到性の有無である。特に、(1)本件発明1のケースが「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され」るとの要件について、ケースの全部がこれらの素材で構成される必要があるか、一部で足りるかという特許請求の範囲の解釈、(2)本件発明4の「誘導加熱コイルユニット」における「ユニット」の意義、(3)本件発明2・3における冷却経路の構造や供給口・排出口の配置に係る容易想到性が争われた。 【判旨】 裁判所は、本件発明1及び4から6までについて審決の判断に誤りがあるとし、当該部分を取り消した。本件発明1については、請求項1に「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され」と記載されるにとどまり、ケースがこれらの要素「のみ」で構成されることを示す文言はないとして、ケースの一部がこれらの素材を含む構成であれば足りると解釈した。その上で、引用発明(甲1発明)のソールプレートについて、磁束を通過させる電気絶縁性の非磁性材としてセラミック又は樹脂を選択することは周知技術に照らして容易想到であると判断した。本件発明4については、「誘導加熱コイルユニット」とは「誘導加熱コイルを含む構成単位」を意味するにすぎず、完成品であっても他のシステムの構成単位として使用可能であれば該当するとして、甲5発明との相違点は実質的な相違点ではないと判断した。他方、本件発明2及び3については、冷却経路の構造や供給口・排出口の配置に関する相違点について容易想到性が認められないとして、審決の判断に誤りはないとした。