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【事案の概要】 原告は、「京都高麗人参」の文字を標準文字で表してなる商標について、第35類「高麗人参を含有するサプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等を指定役務として商標登録出願をした。しかし、特許庁審査官から拒絶査定を受け、拒絶査定不服審判を請求したものの、特許庁は「京都高麗人参」の文字が「京都産の高麗人参」の意味合いを容易に理解させるものであり、指定役務の取扱商品の品質・原材料を表示したものと認識されるにとどまるとして、商標法3条1項6号(需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標)に該当するとの審決をした。原告はこの審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に訴えを提起した。 【争点】 本願商標「京都高麗人参」が商標法3条1項6号に該当するか否かが争われた。原告は、(1)高麗人参は薬用作物であり通常の農作物とは異なるため「都道府県名+高麗人参」の表示は一般的に使用されていないこと、(2)国内流通の高麗人参の99.8%が外国産であり京都産の高麗人参は市場に存在すること自体想定できないため「京都高麗人参」から「京都産の高麗人参」と認識されないこと、(3)本願の指定役務は小売等役務であり商標は屋号として認識されるため取扱商品の原材料とは認識されないことを主張した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、農作物・薬用作物の名称にその産地名を冠して生産・販売することは一般に行われており、サプリメント等の業界でも原材料の産地名を併せて表示する取引実情があると認定した。高麗人参については、北海道から九州まで全国各地で生産されており、「信州高麗人参」「雲州高麗人参」のように産地名を冠する使用例も見られること、サプリメントの商品説明においても高麗人参の産地名を併せて表示することが行われていることを指摘した。そのうえで、本願商標の構成文字の語義と取引の実情を踏まえれば、「京都高麗人参」は「京都産の高麗人参」の意味合いを容易に理解させるものであり、需要者にはサプリメントに詳しくない一般消費者も含まれるから、取扱商品の品質・原材料を表示したものと認識されるにとどまると判断した。また、商標法3条1項6号の適用にあたり、当該商標が産地表示として取引上現実に使用されている事実は必ずしも要求されないとして、原告の主張をいずれも退けた。