変更不承認処分の取消裁決の取消請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 沖縄防衛局は、普天間飛行場の代替施設を名護市辺野古沿岸域に設置するため、沖縄県知事から公有水面埋立法に基づく埋立承認処分を受けていた。その後、沖縄防衛局が埋立地の用途及び設計の概要に係る変更の承認を申請したところ、沖縄県知事は変更を承認しない旨の処分(変更不承認処分)をした。これに対し、沖縄防衛局が地方自治法255条の2第1項1号に基づく審査請求をしたところ、国土交通大臣は変更不承認処分を取り消す旨の裁決をした。そこで、沖縄県知事の所属する行政主体である控訴人(沖縄県)が、国土交通大臣の所属する行政主体である被控訴人(国)に対し、当該裁決の取消しを求めて抗告訴訟を提起した。原審(那覇地裁)は訴えを不適法として却下し、控訴人が控訴した。 【争点】 控訴人(沖縄県)が本件裁決の取消訴訟を提起する原告適格を有するか。具体的には、(1)第一号法定受託事務に係る原処分をした執行機関の所属する行政主体が裁決取消訴訟の原告適格を有するか、(2)原告適格を否定する解釈が憲法92条(地方自治の本旨)や憲法76条2項(行政機関による終審裁判の禁止)に反しないか、が争われた。 【判旨】 控訴棄却。福岡高裁那覇支部は、原審と同様に本件訴えは不適法であり却下すべきものと判断した。第一号法定受託事務は「国が本来果たすべき役割に係るもの」であり、公有水面埋立法も公有水面が国の所有に属するとした上で都道府県知事の職権に関し国土交通大臣の認可を要する規定を設けていることから、審査庁である国土交通大臣がした裁決に対し、原処分をした沖縄県知事が所属する行政主体である控訴人は取消訴訟を提起する適格を有しないとした。控訴人が主張する「固有の自治権」の侵害についても、その概念の内実や外縁は必ずしも明確でなく、私人が有する具体的な権利と同質のものといえるか疑問が残るとし、原告適格を否定しても憲法92条の地方自治の本旨には反しないと判示した。また、憲法76条2項後段は国民の裁判を受ける権利の保障からの帰結を規定したものであり、行政主体に対する保護を直接の対象とするものではないとして、憲法76条2項違反の主張も退けた。